「米国の専門家はスーツ姿で乗り込んできて対照的に描かれてたわね」とジーンさん。米政府が日本政府に何かとゴリ押しし、無理難題を吹っかける場面も描かれる。ステレオタイプな米国のイメージ描写に、場内ではかなり大きな笑いが起きていた。

●米制作なら血みどろに

 ジーンさんは「米国がこの作品を作っていたら、もっと血みどろな映像になってたはず。人が殺される場面が直接はないのがいい。凍結したゴジラと東京は共存して、東京タワーよりも観光名所になりそうね」。

 シン・ゴジラは日本国内では、10月16日までに535万人を動員、興行収入は77億8千万円となり、いまなお大ヒット上映中。アニメ「君の名は。」と並んで東宝の業績アップに大いに貢献した。米国での上映期間は1週間強、上映劇場数も490だが、1週間で172万ドルの売り上げを上げたと報道された。米国でシン・ゴジラを配給するFUNimationのツイッターによれば、限定館にて10月27日まで上映延長とのことだ。

(ジャーナリスト・長野美穂)

AERA 2016年10月31日号

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長野美穂

長野美穂

ロサンゼルスの米インベスターズ・ビジネス・デイリー紙で記者として約5年間勤務し、自動車、バイオテクノロジー、製薬業界などを担当した後に独立。ミシガン州の地元新聞社で勤務の際には、中絶問題の記事でミシガン・プレス協会のフィーチャー記事賞を受賞。

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