小泉純一郎元首相独占インタビュー 「安倍さんは失敗から学んだ」 (3/3) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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小泉純一郎元首相独占インタビュー 「安倍さんは失敗から学んだ」

秋山訓子AERA#原発
基金への寄付を集めるため、東京でも講演会「日本のこれからを考える会」が開かれる。11月16日、山野ホール(渋谷区)で。問い合わせは、03-6262-3623(撮影/写真部・長谷川唯)

基金への寄付を集めるため、東京でも講演会「日本のこれからを考える会」が開かれる。11月16日、山野ホール(渋谷区)で。問い合わせは、03-6262-3623(撮影/写真部・長谷川唯)

「私は首相だったとき、専門家の意見を信じていたけど、東日本大震災の後、自分で勉強し直した。11年3月以降、13年の9月まで、原発はたった2基しか動いていなかったし、それから去年の8月に川内原発が再稼働するまではまったくゼロですよ。この夏に伊方原発が動いたけれども、10月から川内原発は順次検査のために止まる。5年以上たっても、せいぜい2、3基しか動いていないけど、暑い夏も寒い冬も、電力不足を理由にした停電は全国で一度も起きていない。日本は原発ゼロでやっていけるんですよ」

●総理が決断するだけ

 原発ゼロの話になるとさらに力がこもり、弁は熱を帯びる。

「まだ汚染水だってコントロールできていないし、除染にだって一体いくらかかるのかわからない。5年間、実質的に原発ゼロでできているのに、なおかつ再稼働させるのか。なぜこんなバカげたことをやるのか、不思議でしょうがないんだ。原発ゼロなんて、やるのは簡単ですよ。総理が決断するだけだ。経産省や推進論者はクルッと変わりますよ。日本が決めたら米国だって嫌と言いませんよ。責任もどこにあるのかあいまいで、政府? 規制委員会? 東電? よくそんなごまかしがきくな。不思議だね。いずれわかることだけど、原発ゼロのほうが成長できる。私はますます自信、確信を持っているんだよ。原発がなくなると働き口がなくなるという人がいるけど、雇用の場は、自然エネルギー、新しい産業で出てくるよ」

 国内政治は安倍晋三首相の一強体制が続く。

 そもそも安倍氏は小泉内閣で官房副長官を務めた。さらに安倍氏を自民党幹事長に抜擢したのは小泉氏だった。

「安倍さんは失敗から学んだんだろうな。第1次政権と、民主党政権の経験。原発ゼロにすれば、ほかの政策もうまくいく、って言っているんだよ。でもそこがわからないんだよね。民進党がだめなんだよな。だから自民党は民進党よりましだと思われているんだ」

●進次郎のほうが優秀

 民進党は蓮舫氏が代表に選ばれ、執行部も一新した。民進党にアドバイスするとしたら、と聞くと、

「ただちに原発ゼロを最大の焦点にしろ。それができない限り、民進党の支持は上がらないよ。2030年代にゼロにする? じゃあなぜ今ゼロにしないの?これもわからない。いずれ自民党がゼロを打ち出したら、もう野党はめちゃめちゃだよ」

 若手政治家の代表格として頭角を現しつつある次男、進次郎氏についても尋ねた。

「すごく勉強しているよね。いいことだよ。親子でも違いますよ。自分が思うことをやっていけと。私の若い時代と進次郎を比べれば、圧倒的に進次郎のほうが優秀だよ。本もよく読んで、地元をすごく回っているよね。現場をよく見ている。これは強い。行動力があるしね。私はまったく教えてない。全部自分でやっているよ」

 盟友・山崎拓氏が最近出版した『YKK秘録』で、私が気になっていた小泉氏に関する記述についても聞いた。一つは「加藤の乱」に際して、小泉氏が加藤氏に「俺なら不信任案に同調する」と言ったということ。もう一つは乱の挫折後、山崎氏の誕生パーティーに小泉氏が招かれてもいないのに行ったということ。

 答えはどちらも「否」。前者は「加藤さんに本気なのかと聞いたら、そのつもりだというから、俺は断固として止めるから、と言った」。後者は「招かれてもいないのに行くわけないじゃない。私はそんなこと、絶対にしないよ。招かれたから、行ったんだよ」とのことだった。(朝日新聞編集委員・秋山訓子)

AERA 2016年10月3日号


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