基金への寄付を集めるため、東京でも講演会「日本のこれからを考える会」が開かれる。11月16日、山野ホール(渋谷区)で。問い合わせは、03-6262-3623(撮影/写真部・長谷川唯)
基金への寄付を集めるため、東京でも講演会「日本のこれからを考える会」が開かれる。11月16日、山野ホール(渋谷区)で。問い合わせは、03-6262-3623(撮影/写真部・長谷川唯)

 かつて熱狂的な支持を得た小泉元首相。表舞台を去った今もその言動に注目が集まる。いま取り組む基金について、原発ゼロ政策について、安倍政権について、次男・進次郎氏について、語った。

 小泉純一郎元首相が、東日本大震災の被災地への支援活動「トモダチ作戦」で被曝(ひばく)した、と訴える元米兵らを支援する活動に奔走している。来年3月までに1億円を目標として基金を設立。元米兵の治療や検査などの費用にあてるという。

 小泉氏が元米兵らの現状を知ったのは今年3月のこと。米在住のジャーナリストでこの問題に取り組むエイミー・ツジモト氏に会ったのがきっかけだった。ツジモト氏は作戦時に、原子力空母ロナルド・レーガン上で米兵らが撮った映像を持参していた。放射能測定器が鳴り、「すぐ服を脱いでシャワーを浴びろ」といったやりとりも記録されていた。それを見た小泉氏は、その場で米国行きを決める。

「こんなことは珍しいんだけどね、その場で決めちゃったんだ。私、知らなかったから。報道されていないのはどうしてだろうと思って。小泉が米国に行って被害にあっている兵士たちと話をすれば、報道もしてくれるだろうということで」

●自分たちで何かを

 原発ゼロの運動に共に取り組む、城南信用金庫の相談役、吉原毅氏らと共に5月に4日間の日程でサンディエゴに出かけた。元兵士ら10人と面会し、じっくりと話を聞いた。

「お見舞いに行くんだから、お見舞金を持って行かなくちゃ悪いかなと、吉原さんと相談したんだ。2人で二、三百万円。だけど、米兵の数が300人を超えていると聞いてね、これは逆に恥かいちゃうなと思って手ぶらで行ったんだ」

 米兵たちは小泉氏に、淡々と当時やその後の状況を話した。頑健な体が自慢だったのに、作戦の後体調が悪くなり、鼻血や下血がある。医者に診せても原因不明、レントゲンを撮ると腫瘍ができている。軍隊はもはや続けられず、除隊したこと……。

「その場には来なかったけど、妊娠していた女性兵士が作戦に従事していたそうなんだ。生まれてきた子どもが障害を持っていて、しかも数カ月で亡くなってしまったというんだよ」

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