マンハッタンの現場付近に住む家族の様子。9.11を経験した市民は、不審物を見つけると警察に通報。比較的冷静だった (c)朝日新聞社
マンハッタンの現場付近に住む家族の様子。9.11を経験した市民は、不審物を見つけると警察に通報。比較的冷静だった (c)朝日新聞社

 国連総会開催中のニューヨークを連続爆発事件が襲った。マンハッタンで。隣のニュージャージー州で。逮捕されたのは、いわゆる「不法移民」ではなかった。

 3人が死亡、200人以上が負傷した2013年4月のボストンマラソン・テロを思い出した人も多かったのではないか。

 9月17日午前9時半過ぎ(現地時間)、ニューヨーク・マンハッタンの中心部から約70キロメートル南にあるニュージャージー州シーサイド・パークで、ごみ箱にあったパイプ爆弾が爆発。予定されていたチャリティーマラソンが中止された。

 死傷者はいなかったが、爆発はこれで終わらなかった。

●逮捕されたのは米国人

 同日午後8時半ごろ、今度はレストランやギャラリーが立ち並ぶマンハッタンのチェルシー地区で、ごみ箱に投げ込まれていた圧力鍋爆弾が炸裂(さくれつ)、通行人31人が負傷した。さらに、爆発現場でいまだ混乱が続く2時間半後、わずか4ブロック先で、住民が再び圧力鍋爆弾を発見。警察当局が回収した。

 米メディアの報道は、犯人捜し一色になる。保守的で、大統領選挙でもドナルド・トランプ共和党候補を支持している市民らが、ソーシャルメディアでこう言い始めた。

「これはイスラム教徒の仕業だ。オバマ大統領が、移民や難民を歓迎する政策を支持するから、米国本土で欧州のようなテロが起きるんだ」

 19日午前11時過ぎ、そうした発言の「一部」が真実となった。アフガニスタン生まれで米国籍のアフマド・カーン・ラハミ容疑者(28)が、警察との銃撃戦の末、逮捕されたからだ。米メディアによると、マンハッタンの現場から指紋が検出されたことや、現場近くの防犯カメラの映像から同容疑者を割り出し、連邦捜査局(FBI)が指名手配。ニュージャージー州のバーの入り口で寝ているのを見つけた住民が通報したという。

●水際より内側が危ない

 トランプ氏はその直後、テレビ番組で、声高に言った。

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