「私たちは、トランプ氏とともに、『神』をアメリカに再び降臨させるのです! 神の名を呼びましょう! 神の言葉を聞きましょう!」

 キリストや聖母マリアが描かれたTシャツを着た人や、隆々とした筋肉に入れ墨を入れ、革のベストやジャケットを着てオートバイで駆けつけた「バイカーズ・フォー・トランプ」が次々と公園に到着し、歓迎の声が上がる。オハイオ州では公共の場で銃の携帯が許されているため、他州からやってきた若者は銃を腰にぶら下げ、顔を輝かせている。最もよく見かけたTシャツは、「ヒラリー・フォー・プリズン」(ヒラリーを刑務所に)と書かれたものだ。星条旗に交じって、保守強硬派「茶会党」の蛇が描かれた黄色い旗も翻る。

 公園には、銃の所持を支持し、人工中絶に反対し、気候変動は信じず、オバマ大統領はインドネシアで生まれたイスラム教徒だと信じ、移民を排除し、地球の歴史も信じない白人であふれ返り、異様な雰囲気だった。

「茶会党」のラジオ司会者、ケン・クロウもマイクを握った。黒いカウボーイハットに黒い革ジャケットといういでたちに、参加者から歓声が上がる。

「トランプ氏は、彼が築き上げた富を維持するために出馬しているのではなく、俺たち皆が築き上げてきたものを守ろうと、大統領選に出ているんだ。この国には変化が必要だ!」

 そう語るクロウに、人々は熱い視線を送る。

●声上げるメキシコ移民イスラム教徒の女子高生

 そこから約800メートル離れた共和党大会会場のアリーナ前では、キリスト教至上主義のグループが練り歩いていた。「キリストは磔にされ、復活を果たした すべてのイスラム教徒の死の床のために」「赤と白と青(星条旗の色)の血が流れていなければ、この国から出て行け」「民主党員、同性愛者は罪深い」と書かれた看板やTシャツが目立ち、一部の歩行者から声援を受けている。

 その横に、「壁を止めろ」と書かれた手製の布袋をかぶった若者が立った。トランプの最大の公約は、メキシコから不法移民が来ないよう、国境に「万里の長城」のような壁を建設するというものだ。トランプは、メキシコ移民について、

「多くの場合、犯罪者で、薬の売人で、強姦魔だ」

 とも発言している。こうした移民差別と排他主義を煽るトランプの発言に対し、全米から集まった若者が布袋をかぶって手をつなぎ、布の壁をつくろうとしていた。

 これに対し、トランプ支持者から声が上がった。

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