そういえば『ベルばら』『花より男子』『タッチ』、全部男2人にひとりの女性が板挟みになる。「どうしてアンドレの所に行かないの?」とじりじりした10代の頃を思い出す。しかも、二番手男子が話題になるケースも多い。「花男」で小栗旬が演じた花沢類にシビれた女子は多かったはず。「あさきた」もこの「二番手萌え現象」といえよう。二番手男を含め、脇のキャラが立つドラマは面白いのだ。

 仕掛け人のNHK大阪放送局番組制作統括の佐野元彦さんは「会社に、五代をもっと生かしてほしかったといった電話がかかってきた」と反響に驚く。

「幕末に海外に渡り他の人とは異なる経験と視野を持つ五代と、日本ではなく香港・台湾を俳優の出発点にしたディーンさんの生き方が重なる。彼しかないと感じた」

 当初は昨年末で亡くなるはずだったが、あまりの人気に「脚本の大森(美香)さんに台本を書き換えてもらい、寿命を延ばしてもらった」(佐野さん)。

 佐野さんは、図書館で原案になる小説『小説 土佐堀川』を見つけ、ドラマ化を思いついた。

「読んでみたら、新次郎とあさの夫婦関係は破(わ)れ鍋に綴(と)じ蓋(ぶた)。史実でもそうだった。共働きが増え、パートナーシップを結ばない人もいるなか、この物語は今やれば響くと思った」

 ちなみに、今後も回想シーン等で五代の出番は増やしてくれるそうだ。

AERA  2016年2月8日号より抜粋