平和や憲法の本を集めた農文協・農業書センター。荒井操店長は「平和じゃないと農業はできません」(撮影/編集部・深澤友紀)
平和や憲法の本を集めた農文協・農業書センター。荒井操店長は「平和じゃないと農業はできません」(撮影/編集部・深澤友紀)

 言論を支える場のひとつであるはずの書店で「自主規制」とも言える動きが起こっている。背景には何があるのか。

 10月に、「MARUZEN&ジュンク堂書店渋谷店」(東京)のフェア「自由と民主主義のための必読書50」が、店員がツイッターで「夏の参院選まではうちも闘うと決めました」などと発言したことをきっかけに、政治的に偏っているとの批判を受けて中断された。11月中旬に再開されたが、本は大幅に入れ替わった。

 岐阜大学総合情報メディアセンターの村瀬康一郎教授はこう指摘する。

「ネット社会ではたった1人、2人の発言も大きく拡散する。反撃しにくい公的機関や大企業はクレームがあると、数多くの同意見があるのではと過剰反応し、とりやめてしまうことが増えた」

 一方、闘う書店もある。大阪市の清風堂書店は、11月に「某民主主義フェアから外された40冊」を開催した。面屋洋店長は企画した理由を「本屋まで攻撃の対象にされたことに危機感を覚えたから」と説明する。店のツイッターには「反日」や「左寄りの書店」などと書き込まれたが、店頭では好意的な反応が多かったし、新たな客も増えた。

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