これまでの著作権侵害では、著作権者の訴えがなければ、警察は動くことができなかったが、非親告罪化が適用されると、それが変わる。

 Aというアニメ作品の著作権を、二次創作の同人誌が「侵害している」と第三者が判断した時点で、警察が動けるようになるということだ。拡大解釈すれば、著作権者によらずとも「通報」のような手段で有罪化されるかもしれないのだ。

 マンガ家で「Jコミックテラス」取締役会長の赤松健さんは、この問題の世論喚起を行ってきた。赤松さんはこう言う。

「大きな心配はしていない」

 その根拠はこうだ。

「交渉を担当した甘利(明、TPP担当相)さん自身が、二次創作は守られるのではないか、という発言をしている」

 政府与党内でも、同人誌即売会に対する理解は一定数ある。ネットへの単行本誌面のアップや、海賊版グッズ販売の取り締まりは加速するかもしれないが、二次創作の同人誌への向かい風が吹いている状態ではない。

「ただ、国内法の整備はこれからなので、気は抜けません。いまの同人誌文化は素晴らしいものだと思っているから、これは守りたい」(赤松さん)

AERA 2015年11月16日号より抜粋