「ロゴなど、シンプルなデザインは、商標権による保護の対象。似たロゴが付いていたために、消費者がいつも買う商品と勘違いして買ってしまわないか。簡単にいうと、そこが類似と非類似の境界線になります」

 日本では特許庁にロゴやデザインを申請して受理されれば「非類似」、受理されなければ「類似」。ただしジャッジするのは、審査官の「目」となる。ネットの画像検索などで似ている画像を簡単に見つけられる時代に、アナログすぎはしないか。

「類似によって混乱するのは消費者。つまり人の目です。だから人の目で判断するのが実情に合っているのです」(本多さん)

 同業者が似たロゴを使うと混同が起きやすくなるため、「類似」の基準も厳しくなる。だが今回の劇場ロゴは商標登録もされていないうえ、エンブレムと同じ商品に付けられて消費者を混同させる可能性も低い。本多さんは言う。

「影響力の大きい五輪エンブレムという特殊事情はありますが、商標の観点からは劇場ロゴとエンブレムは“似ていない”と判断されるのが普通でしょう」

AERA 2015年9月14日号より抜粋