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 いまや夏の風物詩とも言えるイベント、野外フェス。実はこれ、意外にも読書にも適したイベントなのだとか。音楽ジャーナリスト・柴那典さん流のフェス×読書の楽しみ方とは。

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 夏の野外フェスは、意外にも読書にうってつけの場所。大音量で音楽が一日中鳴り響き、たくさんの観客が一体感をもって盛り上がる夏フェスの場でひとり孤独に本を読むなんて思いもよらない、と思う人は多いかもしれませんが、ライブの合間のステージ転換中など、カバンの中から本を取り出したくなる瞬間はわりと多いのです。

 特にフジロックや朝霧JAMのような自然の中で行われるフェスならなおさら。テントの中で、もしくは森の中のハンモックに横になって、お酒を飲みつつ遠くから聴こえてくる心地よい音楽を感じながら本を読むという、普段の生活にはない特別な体験をすることもできます。

 というわけで、フェス読書に映える「音楽を感じる5冊」をセレクトしました。ジャック・ケルアック『オン・ザ・ロード』と村上龍『69sixty nine』は、今のフェス文化の源流にあるアメリカのカウンターカルチャーの名著、そしてそれに憧れた日本の高校生の青春を描いた物語。革命を語る佐々木中『切りとれ、あの祈る手を』の迫力ある文章にも、ロックの熱と通じるものを感じます。いしいしんじ『麦ふみクーツェ』は、合奏の楽しさ、変わり者を受け入れる音楽の包容力を感じる大人の童話。大友良英『学校で教えてくれない音楽』は、その実践編のような一冊です。

 フェスに雨はつきものなので、防水対策を忘れずに。(寄稿)

AERA  2015年7月27日号より抜粋