米連邦最高裁判所が「全米の同性愛者に結婚の権利はある」とし、同性婚を合憲とした判断が示された翌日の6月27日、バズフィードの人気ニューストップ10は、すべて最高裁の判断や同性婚にからむものだった。これがニューヨーク・タイムズになると、関連記事は10位中2本。両社の読者がかなり異なることが浮き彫りになる。

 しかし、バズフィードはもはや「バイラル」だけに集中しているわけではない。最高裁判断については、判事の立場やオバマ大統領の声明など、新聞やテレビと同様の記事も書く。有力新聞社からヘッドハントしたベテラン記者を使い、特集や調査報道も手掛ける。

「同姓婚は合憲」のニュースの前日の特集は、米南部ミシシッピ州の小さな街で、19歳の女性が自家用車に乗ったまま焼き殺された未解決の事件から半年たったのを機に、徹底的に事件の前後を洗い直した記事だ。この記事では、主要メディアはなぜ「お蔵入り」の事件を検証しないのか、と批判。こうした調査報道が、バズフィードが目指すジャーナリズムだ。

 ミレニアルはこうした長文の記事も、指で画面をスクロールしながらスマートフォンやタブレット端末で読むことを苦にしていないという調査結果もある。主要メディアが重要だと判断して報じている日々の政治や経済の動きとは別のスタイルの記事が、彼らにとってのジャーナリズムである可能性は大きい。

AERA 2015年7月13日号より抜粋