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 健康も寿命も、言ってしまえば「金次第」? そんなせちがらい「法則」を吹き飛ばす処方箋がある。

 所得や学歴による「健康格差」が明らかになってきている。それをあぶり出すのは「社会疫学」。健康に影響を与える社会的な決定要因を研究する学問で、2000年ごろに確立し、海外では行政や企業などで格差縮小に活用している。

 日本でも各大学の社会疫学研究者や医師が興味深い分析結果を出している。岩手大学の平井寛准教授らの分析では、所得別でみた男性の最下層の死亡リスクは、最富裕層の3.5倍、女性は2.48倍高い。経済的ゆとりの感覚も影響する。日本医科大学の海原純子特任教授らは、ゆとりがないとする男性(20~44歳)は「主観的健康不良感」を訴える割合が、ゆとりある男性の約4倍高いと日本人間ドック学会で発表している。

 厚生労働省が定める国民の健康目標「健康日本21」も13年に「健康格差の縮小」を追加した。今春には社会疫学者と各分野の専門家が分析結果などを健康づくりに活用できるよう「健康格差対策の7原則」を発表。全国30自治体と連携する試みも始めた。

 政策による取り組みを待つ間、自分自身で健康寿命を育む方法もある。「つながり」だ。『友だちの数で寿命はきまる』(マガジンハウス)の著者で予防医学研究者の石川善樹さん(34)は言う。

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