京都大学京都大学サマーデザインスクール。学生や社会人も参加してグループに分かれ、多数の課題に挑む(写真:京都大学デザインスクール提供)
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京都大学サマーデザインスクール。学生や社会人も参加してグループに分かれ、多数の課題に挑む(写真:京都大学デザインスクール提供)

 社会に出ると求められる「問題解決能力」。これを培うためのプログラムを実施する大学がある。そこで生まれるのは、柔軟でユニークなアイディアだ。

 京都大学は、5年一貫の博士課程「デザイン学大学院連携プログラム」(通称・京都大学デザインスクール)を2013年に開設した。「世界のどこでも、自分の専門分野で問題解決できる人」を育てることが目的だ。情報学を中心に建築、機械工学、経営、心理などの専門に加えて、分野を統合して社会問題を解決する「デザイン力」を身につける。定員は、1学年20人程度。

 工学系学生の多くは大学院修士課程を終えて就職する。博士課程で狭い専門を究めても企業では生かせないと思われがちだ。

「世界的には、産業界でも博士号を持つ人がリーダーシップをとることが多い。日本でも高い専門性を持ちつつ、コミュニケーション能力があり、違った分野の考え方も理解して俯瞰的に問題解決していける人材を育成する必要がある」と椹木(さわらぎ)哲夫教授(機械理工学)は話す。

 石田亨教授(情報学)は、夏に3日間開いたイベント「サマーデザインスクール」で、2050年の京都市の交通を予測して問題を解決する課題を出した。

「渋滞を緩和するために、すべて右折禁止にして反時計回りに目的地に着く」というアイデアが学生から出た。

「京都の道路は碁盤の目のようなので可能性がある。店を持つ人は反対するだろうが、渋滞が緩和すると、観光客が立ち寄る場所が増えるメリットもあるという発表で、面白いと思った」

AERA  2015年1月26日号より抜粋