アジアカップの準備に余念がない日本代表のアギーレ監督。八百長問題の渦中にある身で求心力を保てるか。成績不振なら解任論が渦巻くはずだ (写真:gettyimages)
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アジアカップの準備に余念がない日本代表のアギーレ監督。八百長問題の渦中にある身で求心力を保てるか。成績不振なら解任論が渦巻くはずだ (写真:gettyimages)

 いったい、この先、どうなるのか。昨年来、日本のサッカー界が騒がしい。日本代表を率いるメキシコ人のハビエル・アギーレ監督をめぐる八百長疑惑だ。

 スペインの検察当局が2011年のスペインリーグ、レバンテ対サラゴサの一戦で八百長があった疑いがあるとして、実に40人を超える関係者を告発。そのリストの中に当時、サラゴサを率いていたアギーレ監督の名前もあった。

 告発が受理されれば、当局は本格的な捜査に乗り出す。正式に起訴されれば、シロ(無罪)かクロ(有罪)かを法廷で争うことになる。

こうした事態を受け、日本サッカー協会が今後、どう対応していくのか。そこに大きな関心が集まっている。

 昨年末、都内でアギーレ監督の記者会見が行われた。その席で「プロサッカーに関わってからの39年間、汚点は全くない」と潔白を主張している。

 近代法では「有罪と宣告されるまでは何人たりとも無罪である」という「推定無罪」が基本原則だ。早い話が、疑わしきは罰せず──である。

 仮に日本協会が「疑わしい」という理由だけで解任に踏み切れば、相応のリスクを負いかねない。監督業の継続に意欲満々のアギーレ側から逆に訴えられる恐れもある。

 解任の理由として無理がないとすれば、今後の業務に支障をきたす場合だ。この件に関してアギーレ側は先手を打った。

「業務に支障がない形で、事情聴取に応じることができる」

 もっとも、実際にそうであるかは分からない。シビアな目で見極める必要がある。現実的に「支障アリ」となれば、業務を継続させるほうがむしろ、リスクになる。解任が妥当だろう。

 今回の件に限らず、水面下で後任人事を進めておくなどのリスク管理は必要だ。過去にイビチャ・オシム氏が在任中に病気に倒れ、業務の継続が難しくなり、慌てて後任探しに奔走するケースもあった。

 事態の進展を見守りながら、適切なバックドア(非常口)を用意できるかどうか。万が一の備えをしておくに越したことはない。

AERA 2015年1月19日号より抜粋