ごみ屋敷ほどには散らかっていなくても、モノが多く雑然としがちな親の家。災害時にモノが崩壊したり、転んでけがをしたり……心配は尽きない。万が一、急に片づけることになったら、それも不安だ。子ども世代が少しずつ片づけていく時、何に気をつければいいのか。プロにコツを聞いた。

「実家もモノも、あくまで親の持ちものです。親には親の生活がある。親が望むなら、手伝いを申し出るのが礼儀です」

 そう指摘するのは家事塾を主宰する辰巳渚さんだ。

 はた目には不用品の山に見えても、勝手に処分されればストレスになる。親は子の申し出を拒み、親子関係はぎくしゃくする。相手を否定したり、決めつけたりする言い方はタブーなのだ。

 そもそも、70代以上の親世代が捨てられない理由は、育ってきた環境にある。おうちデトックスを掲げる収納インテリアアドバイザーの大橋わかさんは、こう分析する。

「戦後の物不足や高度経済成長期を経験し、モノを手に入れることは豊かさの象徴でした。オイルショックで、ある日突然モノが手に入らなくなったという衝撃も経験しているのです」

「もったいない」「いつか使うかも」という思いもある。大量の布団や大皿などがそうだ。

「家にたくさんのお客さんを招くことが減り、使う機会がないとわかっていても、過去に役立ったものを捨てられないんです」

 それを解決するためには、持ち物の総量を親に実感してもらうことが大切だ。大量に見つかったモノを、まず1カ所に集めると処分しやすいと、大橋さんはアドバイスする。

「総量を本人に見せてあげ、多めに残して、あとはリサイクルに回すよう提案しましょう」

 捨てられることは拒んでも、使う人がいるならと喜んで提供してくれるケースは多い

週刊朝日 2014年10月20日号より抜粋