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「鮮魚のアマゾン」目指す企業 その仕組みは

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鮮魚流通「八面六臂」の松田雅也社長。最近、自らを「魚の伝道師」だと思うようになったと話す。座右の銘は「明日死んでも後悔しないように今日を生きる」。東京・築地にある八面六臂の物流センターで(撮影/伊ケ崎忍)

鮮魚流通「八面六臂」の松田雅也社長。最近、自らを「魚の伝道師」だと思うようになったと話す。座右の銘は「明日死んでも後悔しないように今日を生きる」。東京・築地にある八面六臂の物流センターで(撮影/伊ケ崎忍)

顧客に無償で貸与される、鮮魚発注アプリを搭載したiPad。これまで電話で行われていた飲食店の発注業務が、円滑かつ効率がよくなった。「いつものアジ5本」などと手書き入力も可能だ(撮影/伊ケ崎忍)

顧客に無償で貸与される、鮮魚発注アプリを搭載したiPad。これまで電話で行われていた飲食店の発注業務が、円滑かつ効率がよくなった。「いつものアジ5本」などと手書き入力も可能だ(撮影/伊ケ崎忍)

 世界一のネット通販サイトアマゾン・ドット・コム。そのアマゾンも扱わない鮮魚の分野で、その「アマゾン」的な存在を目指す企業がある。鮮魚流通の「八面六臂(はちめんろっぴ)」だ。八面六臂は、最先端のITと鮮魚という一見異質な組み合わせで、鮮魚流通の常識を打ち破ろうとするベンチャー企業。率いるのは、松田雅也(まさなり)(33)だ。

 松田は京都大学法学部卒。新卒でUFJ銀行(現三菱東京UFJ銀行)に入行するも1年半で辞め、上京して独立系ベンチャーキャピタルに転職。その後起業などを経験する中で、漁協、荷受け、仲卸など複雑な鮮魚流通の実態を知る。ITで効率化できる余地があるとみて、2010年10月に現在の事業に乗り出した。

 この時点で松田の頭の中にあったのが、「鮮魚流通のアマゾンを目指す」というビジョン。仕入れから顧客へ届けるまでの物流網を整備し、鮮魚流通におけるプラットフォーム(情報基盤)の構築を目指した。

 そもそも鮮魚流通は、漁師→市場→仲卸→飲食店と、消費者のもとに届くまで複数の業者を経由するのが一般的。幾度も人手を介することで魚の鮮度は落ち、無駄なコストも膨らんで、業界は停滞していた。加えて、漁師をはじめ従事者たちの高齢化、零細・中小企業頼みという現実。結果として、価格や鮮度で熾烈な争いを繰り広げているのは東京の山手線の内側くらいで、それ以外は「鮮魚流通過疎地域」だった。

 松田は3兆円市場への足掛かりとして、その「過疎地」を攻めた。

「そういう場所を、シメシメと思って営業して歩くわけです」

 そのビジネスモデルはこうだ。まず、契約を結んだ飲食店に独自に開発した鮮魚受注アプリをインストールしたiPadを無償で貸与。そのうえで、各店舗の注文パターンや料理長の好みといった顧客データを集積・分析し、毎日の注文を予測できるようにした。

 一方、全国の漁師、産地、市場、中間業者からはその日の鮮魚情報を収集し、自社で構築したデータベースに登録した。さらに、全国の天気や海水温なども独自に分析し、仕入れ先を調整することで鮮魚をより安い値段で調達できるようにした。

 集約された「入荷情報」は、毎日顧客のiPadに届けられ、魚種、産地、サイズ、価格などの情報が写真付きで表示される。

 顧客である飲食店は24時間、画面をタッチするだけで好きな魚を注文でき、店には注文から数時間後には魚が届き始める。

AERA  2014年4月14日号より抜粋


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