クラター・コンサルタントやましたひでこモノへの執着を捨てることを最大のコンセプトとした「断捨離」を考案。著書『新・片付け術 断捨離』などの断捨離関連書籍は280万部超え。リビング手前に写っているのはストーブ。火にくべるのは杉の間伐材(写真部・慎芝賢)
クラター・コンサルタント
やましたひでこ

モノへの執着を捨てることを最大のコンセプトとした「断捨離」を考案。著書『新・片付け術 断捨離』などの断捨離関連書籍は280万部超え。リビング手前に写っているのはストーブ。火にくべるのは杉の間伐材(写真部・慎芝賢)
食器棚には地元の九谷焼の食器が美しく並ぶ(写真部・慎芝賢)
食器棚には地元の九谷焼の食器が美しく並ぶ(写真部・慎芝賢)
山吹色のタイルで統一されたバスルーム。「雑木林が眺められて気持ちがいいんですよ」(写真部・慎芝賢)
山吹色のタイルで統一されたバスルーム。「雑木林が眺められて気持ちがいいんですよ」(写真部・慎芝賢)
美術品のように並べらた箸置きや栓抜きなど。箸置きは猫をかたどった陶製のもの(写真部・慎芝賢)
美術品のように並べらた箸置きや栓抜きなど。箸置きは猫をかたどった陶製のもの(写真部・慎芝賢)

 ベストセラー『新・片づけ術断捨離』で一躍、時の人となったやましたひでこさん。断捨離ブームを起こした本人は、一体どんな部屋に住んでいるのだろうか。やましたさんの「断捨離ハウス」を石川県能美市に訪ねた。現在は仕事部屋や、セミナーを開く場所として、またプライベートなゲストハウスとして活用している。

 玄関を入るとすぐ、“庭”が目に飛び込んできた。庭と書いたが、正確には雑木林。玄関からリビングルーム、バスルームを囲むように広がっている。ウッドデッキにテーブルを出してビアパーティーを妄想して口にすると、「(庭用)テーブルは必要ないから置かないのよ」と笑顔で返された。自分にとって不要なものは置かない、が基本。

 食器棚を見ると、食器の数が圧倒的に少ない。だが、出された茶菓子の皿や茶碗など、器はすべて地元の九谷焼で統一されている。小さいボウルひとつでお茶も飲めばご飯も食べる。カフェオレボウルにもする。多目的に使えば、たくさんの食器は必要ない。

 圧倒されたのは、キッチンの引き出しの中。茶こしと栓抜き、箸置きなどがまるで美術品のように置いてある。記者の自宅のぎゅうぎゅうにモノが詰まった引き出しとはエラい違いだ。

「断捨離では、見えない収納、見える収納、見せる収納の割合を7:5:1にしています。見えない収納である引き出しも3割の余裕を残します」

 箸置きはタイで見つけた陶製のをかたどったもの。茶こしや栓抜きも長年愛用しているものばかり。「どうしても使いたいモノだけ」と厳選していけばモノは減る。引き出しには滑り止めのマットを敷いている。仕切りがなくても、引き出しの中でバラバラにならずに済む。

AERA  2014年3月31日号より抜粋