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歴史も動く? 首相への電話盗聴にドイツ人の怒り止まらず

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メルケル独首相は昨年末、スイスでスキーをして大怪我した。オバマ米大統領は年初にお見舞いの電話をし、数カ月内の訪米を要請した。独の対米感情悪化を和らげようとしたのだろうが、呼び付けるという無神経さに呆れる反響が日本のネットには出ている(写真:gettyimages)

メルケル独首相は昨年末、スイスでスキーをして大怪我した。オバマ米大統領は年初にお見舞いの電話をし、数カ月内の訪米を要請した。独の対米感情悪化を和らげようとしたのだろうが、呼び付けるという無神経さに呆れる反響が日本のネットには出ている(写真:gettyimages)

 ドイツのメルケル首相の携帯電話を盗聴していた米国に、ドイツ人の怒りが収まらない。 メルケル首相の個人携帯電話まで米国家安全保障局(NSA)に盗聴されていた事実が暴かれた影響もあろうが、独紙誌によれば、スノーデン氏の独連邦議会での証人喚問や亡命受け入れを求める声さえ噴き出している。

 米中央情報局(CIA)のエドワード・スノーデン元職員は機密資料を持って、勤務地のハワイから突如、昨年5月下旬に香港へ行き、英、米、地元の一部新聞にそれぞれ機密を流した。米検察当局にスパイ行為などの容疑で訴追されると、亡命先を探しつつロシアに飛び、モスクワのシェレメチェボ空港の乗り継ぎ区域に滞留、8月1日にロシアから1年間の亡命許可を得た。

 このスノーデン氏と昨秋、政治家として初めて、ドイツの緑の党のクリスティアン・シュトレーベレ連邦議会議員が面会した。厳重警護のモスクワ市内某所に訪ね、独有力週刊誌シュピーゲルによると、3時間にもわたり密談した。この議員は、スノーデン氏の独議会での証言、独政府による身柄保護を主張している。

 会談の全容はなお不明だが、これまでにスノーデン氏から開示された機密資料などを分析したシュピーゲル誌は、ベルリンの在独米大使館内のNSAとCIAの特殊班が、西側の中心的要人であるメルケル首相の携帯電話を、ほぼ10年間も盗聴してきた証拠をつかみ、10月28日号で詳細に報じた。大使館のどの場所からメルケル首相への盗聴がなされたかまで推定した。

 スノーデン氏の資料にある首相の携帯電話番号は「+49173-×××××××」(×印は同誌による秘匿)。首相周辺への同誌の取材によると、その番号に誤りはなく、「とりわけ党の友人、閣僚、信頼すべき筋」との通話に用いていた携帯だった。つまり米側は、独首相の本音を、つねに知り得ていたことになる。

 同誌はNSAとCIAの盗聴戦のやり方を技術面からも暴いているが、日本を含めてドイツ以外の国々への盗聴の実態については、ほとんど触れていない。だが、自由最重視の価値観を共にし、言動から親米の人物像も明白なメルケル氏に対し、恐らく東独出身という理由から米側が盗聴を実行した影響は深刻、と明治大学の三宅正樹名誉教授(ユーラシア外交史)はみる。

「根本のところでドイツの対米信頼感は揺らいだ。こうした心理の変化も歴史を動かす」

AERA 2014年1月27日号より抜粋


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