上西教授は、企業データを集めた情報誌や新聞・雑誌のデータベース、有価証券報告書など、客観的な情報の活用を勧める。中でも参考にしてほしいのが『就職四季報』だ。企業の業績調査を手がける東洋経済新報社が、就活生向けに毎年出版している。数字と文字ばかりで、一見難しそうだが、読み方を知れば怖くない。

 まず注目したいのが、「3年後離職率」。若者の使い潰しが、離職率という数値に表れてくるからだ。ブラック企業かどうかの目安は、「30%」。業種によって異なるが、30%以上だと要注意。離職率が無回答(NA)の企業も少なくないが、無回答であることも一つのメッセージと考えられるという。3年後離職率が無回答であっても、従業員数と毎年の採用実績数の比率、また平均勤続年数に注目すれば、新入社員の「使い潰し」がある企業かどうか推測可能だという。従業員数の割に採用実績数が多すぎる場合は、次々と辞める若手社員を補充するため採用実績数が多めになっていると推測できる。平均勤続年数が短い会社は、入社後数年で辞める人が多いことを意味する。いずれも『就職四季報』の基本情報として、ほとんどの企業が公開している。

「ほかにも、採用選考のプロセスがあまりに簡素な場合は注意が必要。初任給の高さにも釣られないでほしい」(上西教授)

AERA 2014年1月20日号より抜粋