「バカ」「お前なんか死んでしまえ」。ブログやツイッターなど、ネット上である日突然、浴びせられる罵詈雑言。いちいち相手にせず、さらっと受け流すのが賢い対処法だ。

 とはいえ、ただ無視するだけでは芸がない。ネット上でのコミュニケーション上級者は、笑いにくるんで流してしまう、相手を脱力させて反論の意欲を削ぐなど、さまざまな「スルーテクニック」を持っている。

「ツイッターで『バカ』と書かれたので、『私バカよね~、おバカさんよね~♪』と返信したところ、それ以上はディスられなかったです。『アホだ』と書かれたときは、『同じアホなら踊らなジャクソン』と、マイケル・ジャクソンのミュージックビデオのURLを張り付けて返信しました」

 と笑うのは、2ちゃんねらー歴10年以上という30代女性。2ちゃんが今よりも殺伐とした雰囲気だったころ、掲示板じゅうの住民からボロクソにたたかれた経験を持ち、「煽(あお)り耐性」には自信があるという。

「2ちゃんに比べれば、ツイッターの炎上なんてかわいいもの。一対一なので、相手も引き下がりやすいです」

 また、「バーカ」と言われたら、「カ…カメラ?」としりとりで返してしまうという変化球ワザも。これなら相手もしりとりで返さざるを得なくなる。

「『君の考えは間違っている!』と上からご意見してくる方々には、『僕、若造で不勉強なのでイジメないで…』と自虐的に言うと、だいたい満足していただけます。実は彼らの意見はろくに読んでいませんが(笑)」

 と言うのは、20代の経済系ブロガー。「生意気な若造を論破してやりたい」と思うのがオッサンネットユーザーの性(さが)だ。プロブロガーのイケダハヤトさん(27)は言う。

「慇懃無礼に、議論するふりをして、実は『イケダを論破してやった』と言いたいだけの人は相手にしません。若くて会社に属さず、『満員電車になんか乗りたくない』という僕に対して、『君はわかっていないんだ、老婆心から言うんだけど…』と愛のムチをくれる年長者が多くて、無視するのは心苦しいんですが、はっきり言って余計なお世話です(笑)」

AERA 2013年6月24日号