47歳・中日の山本昌 球団に2度引退打診も断られる

AERA
 プロ野球の今季の顔ぶれを見ても、47歳の山本昌(中日)を筆頭に44歳の山崎武司(中日)、43 歳の桧山進次郎(阪神)など40代の選手10人が、開幕時点で支配下選手登録されている。メジャーでは昨シーズン、ロッキーズのジェイミー・モイヤーが49歳で勝利投手になり、世のオジさん族を歓喜させた。

「今シーズン、また球速がアップしたんですよ」と嬉しそうに語るのが、今季も先発ローテーション入りしている山本昌投手だ。プロ野球史上初の30シーズン目を迎えた。

 しかも今季、投手の生命線といわれるフォームの改造まで手をつけた。投手がフォームを変えるのは相当の覚悟と勇気が必要。47歳の今も向上心が一向に衰えていない証左でもある。

 プロ野球選手の引退は、投手なら200勝、打者なら2000本安打の達成が引き金になる傾向がある。名球会入りする資格が与えられるこの数字が、現役生活のモチベーションになっているからだ。山本はすでに215勝を挙げ、名球会入りはしているものの、この名誉は彼のやる気を削ぐ材料には微塵もなっていない。

「僕は名誉のために野球をやっているわけではありませんから。むしろ毎年、まだうまくなれるという感触が芽生え、その気持ちに忠実に従っていたらこの年になってしまったのです」

 20年近くトレーニングコーチを務めるワールドウィングの小山裕史博士は、山本の最大の武器は「素直な心と、衰えない探究心」という。小山氏は、身体に強度の負荷をかけずに筋肉と神経を発達させる「初動負荷理論」に基づき、山本の身体を作りあげた。小山氏が言う。

「僕のトレーニングで山本選手の肩の可動域は今年120度に広がりました。一般の人は90度ですから、それだけ球速もまだ伸びるということです」

 だが、どんなに身体を鍛えたところで、球団に契約してもらえなければ選手生命は終わる。山本は、「実は」と笑う。

「昨年、3勝しか挙げられなかったので球団に2回ほど引退を打診したんです。でも『まだやれるだろう』って。嬉しかったですね」

 ベテランの山本に求められるのは、勝ち数だけではない。練習に取り組む真摯な姿勢が、若手のいい手本になると球団は考えたのだ。事実山本は、365日トレーニングに励み、身体のケアにも時間をかけ、食生活にも細心の工夫を施している。

 山本には今後、マウンドに立つたびに「最年長記録」の称号がつく。

「僕は歴代で最も幸せな選手だと思っています。だって、長嶋さんも王さんも30年はやれなかった。ここまで来たからには50歳まで頑張ろうかな」

AERA 2013年6月10日号

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