女子は総じてイケメン好きかと思いきや、実はそうではない。男性陣は信じられないかもしれないが、イケメンが苦手という「イケメン下手(べた)」の女性は案外多いのだ。

 結婚情報サービス大手のオーネットが、20代、30代の独身女性約450人に、結婚相手に望む条件を調査したところ、「容姿」は「価値観」「収入」「趣味」よりも下で、あまり重視されていないことがわかった。

 カッコイイ容姿はいまや、結婚の武器にはならないのだ。

「イケメンの受難」について、『東大卒でスミマセン』の著者、中本千晶さんは「東大卒の受難」と似ていると話す。

 自身も東大卒の中本さんは、

「東大卒のくせにアバウトすぎる」
「東大卒なのにこんなこともわからないのか」

 など、「東大卒」であるがゆえにマイナス評価を受けた経験が多々あるという。

「イケメンも東大卒も、先入観で期待値が上がってしまうぶん、幻滅されることが多い。『ご期待に沿えずスミマセン』と感じることがよくあるんです」

 ただ、中本さんも“観賞用”に限れば「イケメン好き」だという。

「観賞するなら断然イケメンがいい。でも、リアルにいたら緊張して話せない。イケメンを堂々と彼氏にできるのは、『イケメンに釣り合う私』に自信が持てる女性だけ。容姿にも女子力にも自信がないごく普通の女性は、リアルにイケメン好きを表明するのは気恥ずかしい。イケメンは観賞専門という女性は多いのではないでしょうか」

 このアンビバレントな女性心理を解析する、文化社会学が専門の辻泉・中央大学文学部准教授は次のように話す。

「芸能人のカッコよさは女子コミュニケーションの共通のネタとして盛り上がれる。一方、女性がリアルなイケメン男性に本気で入れ込む姿は、イタすぎて会話のネタにならない。ネタとして消費できないことは避けたいという心理が、女性の根底にあるのではないでしょうか」

AERA 2013年1月21日号