12年最後の本コラムは、マスコミにほとんど報道されなかったイケメン話を。

 世界64カ国で公開される映画「るろうに剣心」のPRイベントで台湾マスコミの取材を受けた人気俳優の佐藤健(たける)さん(23)。飛び出したのはなんと、「前田敦子さんと石原さとみさんが溺れそうになっていたら、どちらを助けますか?」という質問。しかし、佐藤さんはひるむことなく「2人を助けて僕が死にます」と即答したそうな。イケメンな切り返し、カッコよすぎでますます人気上昇でしょ。ところがこの話、ほとんど報道されなかった。

 佐藤さんというと、酔っ払った前田さんをお姫様抱っこして家まで送り届けた際の写真が週刊誌に掲載されたが、後追い取材はほとんどなし。石原さんとは12年夏、舞台「ロミオ&ジュリエット」で共演後熱愛のウワサが出たが、これも報じたのは一部週刊誌のみ。

 事務所との関係によってネタに触れない、ハッキリ聞けない日本のマスコミと違って海外のマスコミはなんとも鋭い。エグすぎることもあるが、日本の芸能マスコミも今後はそれぐらいビシッと聞いてほしいし、聞かれたタレントも、事務所にさえぎらせることなく、きちっと切り返してこそ会見の醍醐味ってもの。事務所も後から文句言うのはナシで。

 先日の総選挙の番組では、小渕優子さんに「お父さんが議員じゃなかったら、政治家にならなかったのですか?」とか、鳩山邦夫さんに「選挙区を福岡に移したのは、(鳩山家が大株主である)ブリヂストンの工場があるからですよね?」などと、気になっていても誰も聞かないストレートな質問をぶつけた池上彰さんの番組(テレビ東京系)がもっともおもしろかったとの声多数。それは当然のこと。

 取材を受けると言っているのに聞いちゃいけない質問が暗黙のうちにあるのって、おかしいしもどかしい。読者も視聴者もそういう舞台裏にもう気づいてるんだからさ。13年は私もきわどい質問バンバンするぞ!と誓いたいが、そういう場所にはなかなか出席させてもらえないんだよなぁ。

AERA 2012年12月31日号