卒業生が実績を出し始め、存在感を増す公立中高一貫校。その試験内容は、私立のそれとは一味違うものになっている。

 公立一貫校に入学するには、適性検査と呼ばれる筆記試験にパスしなければならない。私立入試との違いを、栄光ゼミナール広報室の山中亨課長は次のように話す。

「私立入試は教科別ですが、適性検査は教科横断型の問題が出題されます」

 都立では、国語型の作文記述問題、社会や理科に算数をミックスした資料・グラフ問題、算数型の理数問題がI~II(小石川などはIIIまで)に分けて出題される。

 今年、都立小石川で出題された「適性検査II」は、表やグラフや会話文を示し、そこから読み取れる特徴や自分の考えを記述させるものだった。加えて、データを使った計算やグラフの作図も。

 実は2年前、ある難関私立の社会科で、同様のデータを使った問題が出されたことがある。ただし設問の内容は大きく異なる。グラフの情報を一部伏せ、国名や輸送手段を、選択肢から答えさせるというものだった。

「私立の問題は知識がないと解けないが、知識があれば考えなくても解ける。公立一貫校は、データや資料を提供して、そこから考えさせる。知識だけでは解けない、脳みそが汗をかく問題です」(早稲田進学会の大島塾長)

 公立一貫校でも学校によって傾向は違う。適性検査に詳しいスクールETC代表の若泉敏氏は、次のように分析する。

「複数の資料を読み解く難度の高い問題を出すのは千葉、小石川、武蔵で、私立型試験の偏差値が高くても点が取れるわけではありません。白鴎と両国も同様ですが、身近な素材を取り上げ小学生にも取り組みやすい。大泉、九段、桜修館、立川国際は私立型の勉強をしてきた子も受検しやすい。市立浦和は、ほとんど私立入試と同様の問題が出題されています」

 公立一貫校は記述問題が多いので、新聞記事を200字でまとめるなど、普段から書く練習を積むのが効果的だ。

AERA 2012年11月12日号