近年、日本で問題となっているママ友トラブル。都内の公立小学校ではママ友同士の会合に禁止令も出され、アエラがこれを報じると大きな反響があった。しかしママ友トラブルは実は日本国内だけの話ではないらしい。

 米国ボストン在住の吉原信子さん(45)は、ママ友トラブルについて次のように話す。

「時代や性別、洋の東西を問わず、人間社会にはいつでも起きる問題です。日本古来の村八分と同じで、男の人の社会にも、老人会にも必ずあるはず。今時の母親は……という言葉で片づけてほしくないです」

 吉原さん自身、夫の仕事で12年前に渡米してから、日本人ママとの関係に悩んだ。

 原因は吉原さんが外国人の母親と一緒にいることが多かったからだ。日本人の母親たちに「日本人嫌い」と偏見を持たれ、下校時やイベントに親子そろって誘われなくなったという。

 日本人ママのグループは、夫の転勤や留学期間によって、長くても3年でメンバーが入れ替わる。だが、噂話は新入りに「申し送り」され、嫌がらせは6年以上も続いた。

「言葉の壁があって狭い社会になり、泣きたくなるほどつらかった。本当の自分を表現したくてブログを書くようになり、初めて息をしたような感覚でした」

 吉原さんは渡米前、子どもの問題に取り組むNPO法人CAPセンター・JAPANのスペシャリストとして、小中学校でワークショップを開いていた。

「目の前の社会だけがすべてじゃない。逃げ道を持ちなさい」

 と、子どもに話していた。

「そんな自分にまさか同じことが降りかかるとは。親子で上手に逃げ道を見つけていくことが生きる術です。学校が保護者の付き合いまで規制してはいけないと思います」

AERA 2012年10月22日号