菅義偉・新内閣総理大臣の知られざる生き方に迫る! かつては住み込みで働いた経験も... 〈BOOKSTAND〉|AERA dot. (アエラドット)

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菅義偉・新内閣総理大臣の知られざる生き方に迫る! かつては住み込みで働いた経験も...

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『総理の影: 菅義偉の正体』功, 森 小学館

『総理の影: 菅義偉の正体』功, 森 小学館


 長期政権となった安倍晋三・前総裁の辞任にともない、第99代内閣総理大臣に選出された菅 義偉氏。安倍政権時には首相の"女房役"とも呼べる内閣官房長官を務め、記者会見などを通して幾度となくその姿を見せてきた。とはいえ菅氏の人物像は知られざる部分も多く、会見の様子からどこか淡々としたイメージを抱くかもしれない。


 今回ピックアップした森 功氏の著書『総理の影:菅義偉の正体』(小学館)は、そんな菅氏の実像に徹底取材のもと迫ったノンフィクション。2016年8月発売の書籍とはいえ、総理大臣に登りつめるまでのプロフィールを知る上で重要な一冊となっている。


 菅氏といえば、これまでにスキャンダルや、政治家にありがちな失言は目立って報じられていない。政治部の記者や評論家の多くが"切れ者の政府スポークスマン"と評価していて、森氏は官房長官在任時の菅氏について以下のように記した。


「国会議員は与野党問わず菅の手腕を認め、霞が関の官僚やマスコミまでもが、菅を持ちあげ、いつしか菅は『政権をコントロールする影の総理』とまで呼ばれるようになった。安倍政権に欠かせない存在だとされ、自民党内では、他の政治家を寄せつけないほどの存在感を見せつけてきたといえる」(本文より)


 2020年9月、内閣官房長官を経てついに総理大臣の座に就いた菅氏。とはいえ、それまでの人生は決して華々しいものではなかったようだ。秋田県のいちご農家に生まれた菅氏は高校卒業後に上京し、板橋にある段ボール会社に住み込みで働いていたという。エリートや安倍氏のように世襲議員の政治家が多い中で、菅氏のプロフィールは"異色"ではないだろうか。


 第1次安倍晋三政権で初入閣を果たした菅氏は、第2次政権で官房長官に就いて、ますます多忙を極めることになる。一方で、予定がないにもかかわらず、運転手に上野駅へ寄ってほしいとリクエストすることがあった。それは高校卒業を機に上京した菅氏の人間性が垣間見える一瞬でもある。


「取り立てて何をするわけでもない。車からしばらくJRの駅庁舎を眺めるだけだ。報道メディア向けの定例会見や国会での答弁で、面白味のない受け答えを貫くクールな官房長官が、しばし感傷に浸ってきた場所、それが上野駅である。菅にとって上野駅は、東京生活の出発点にほかならない」(本文より)


 そもそも菅氏が政治家を目指した理由とは、いったいなんだったのだろうか。上京・就職後に大学受験を経験した菅氏は、法政大学法学部政治学科に入学。当時の思いについて、森氏のインタビューに応じた菅氏は次のように明かしている。


「最終的に家に帰らなくてはと思っていましたが、本を読んだり人生について考えているなかで、この世の中は政治が動かしているのではないかと、漠然とですが気がつきました」(本文より)


 とはいえ菅氏に政治家の知り合いなどおらず、伝手もない。大学の就職課を通じて議員秘書の座を手に入れたものの、菅氏曰く当初は議員の名前すら知らなかったという。将来総理大臣の座に就く人物としては野心に欠けているかもしれないが、菅氏は安倍政権時に"影の総理"と呼ばれるほど圧倒的な存在感を放つことになる。


「取材のなかでしばしば聞こえてきた菅評の一つが、権威や権力に媚びない政治家としての覚悟だという。いまふうにいえば、ぶれない姿勢ということか」(本文より)


 1996年10月の総選挙で橋本龍太郎・自民党総裁(当時)から公認を受け、菅氏は衆議院議員として初当選。1回生のころから国鉄のJR分化・民営化に関する法案に反対するなど、何者にも媚びない菅氏のスタイルはすでに完成していたようだ。


 のちに小泉(純一郎)内閣で総務副大臣、第1次安倍内閣で総務大臣を歴任してきた菅氏。ことのほか"放送局のあり方"に関心を抱き、やらせ問題を機に放送法の改正を訴えたほか、NHK改革にも着手した経緯を持つ。一方で菅氏の強みの1つにマスコミ人脈があり、週刊誌・月刊誌幹部やフリージャーナリストに至るまで"菅信奉者"は多い。森氏はマスコミ同業者たちが、嬉々として話したという一節を紹介している。


「また菅さんに呼び出され、政権中枢の極秘情報を教えてもらった」(本文より)


 権力に溺れず人心掌握にも長けた菅氏なら、総理就任は自然な流れと呼べるかもしれない。表面上はクールに見えても、その内側には紛れもない野心が燃え盛っているはずだ。政権トップへと登りつめた"菅義偉スタイル"を参考に、押し寄せる現代社会の荒波を生き抜きこう。


(記事提供:BOOK STAND)

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