皆さんの中には、国内旅行に出かける際、事前にガイドブックを用意するという人も多いでしょう。けれど、その中に載っている滝や武家屋敷や「〇〇ゆかりの地」といった定番の観光スポットをおとずれて、それなりに満足はしたものの、「うーん、なんか違うんだよなぁ......」なんて思った経験はないでしょうか?
 そもそも、皆さんが観光に求めるものは何でしょうか? 人それぞれかとは思いますが、もし自分が求めるものはベタな定番スポットなどではなく、なるべく意外なもの、知らなかったもの、不思議なもの、とりわけすごいものといった"手ごたえの感じられる場所"を見ることだと考えるなら、本書『ニッポン47都道府県正直観光案内』はぜひとも読むべき一冊といえるでしょう。
 著者の宮田珠己さんは「旅をしまくりたい」と会社を退職して約20年、その言葉通りに旅行をしまくり、紀行エッセイストとして活躍しているというユニークな人。そんな彼が正直にいいと思う場所だけを厳選し、47都道府県別に紹介しているのですから、これを読めばみすみすつまらない観光地で過ごすハメになることなんてありえないということになります!
 たとえば富山県。北陸新幹線が開通し東京方面からのアクセスは便利になったものの、富山ではなくその先の金沢を旅行先にするという人は多いはず。......でも、ちょっと待って! 「観光についていえば、実は日本屈指の実力を誇るのが富山県」だと筆者は本書で主張します。
 立山砂防工事専用軌道トロッコや富岩水上ラインの遊覧船、立山黒部アルペンルートのトロリーバスやロープウェイなど、とにかく富山は乗り物天国。その魅力をひとことで言い表すならば「スペクタル」なところだそう。土木観光ともいえる壮大な景観を堪能できるのが富山ということでしょうか。......そう聞くと、がぜん行きたくなってきた!
 ほかにも大分県は謎だらけの大魔境、青森県は日本屈指のSF県、真にダサい東京都......とワードを聞くだけで気になるものばかり(すべて筆者個人の感想ですが)。本書には絶景、奇景、珍妙な観光スポットが目白押しです。
 そして、ガイドブックとしてではないもうひとつの楽しみ方が、「自分の出身県を読んでみる」というもの。世間一般の通説とは異なる見方が書かれているので、とても興味深く読めるはず。たとえば私の出身の三重県は伊勢神宮や伊賀忍者、野古道などが定番の観光スポットとして知られていますが、筆者は志摩スペイン村や長島スパーランドを挙げ、「実はアトラクション県だった」としているのには納得、そして感心です。
 これからの春から夏にかけては旅行のベストシーズン。次の観光の行き先を決める一冊として、または日本各地の面白さを再発見する一冊として、皆さんも本書を手にとってみてはいかがでしょうか。