(写真:WEB本の雑誌)
(写真:WEB本の雑誌)

 ポーチに時計、スピーカーに婚姻届け。これらは、すべてこの1年以内に発売された雑誌の付録。単品で発売してもおかしくない商品が付く場合もあるなど、毎年減少している雑誌の売上に、大きく貢献しています。

 

 そんな流行もさることながら、付録を付けずに発行部数を伸ばしている雑誌もあります。「基盤のある女性は、強く、優しく、美しい」をキャッチコピーのもと、30代の主婦を中心に読まれている雑誌「VERY」もそのひとつ。



 なぜ、ファッション誌が苦戦している時代に、主婦向けの雑誌が伸びているのでしょうか。そのヒントは、同誌の編集長である今尾朝子さんの言葉にありそうです。今尾さんは、書籍『ブランド「メディア」のつくり方』の中で、頑張れば手に届きそうな、「少しだけ先を目指した『半歩先のリアル』」を大事にしていると、明かしています。



「『半歩先のリアル』」を提示することは、まだもやもやとかたちになっていない読者のニーズや気持ちを、言語化して誌面に出していくということです。読者の心をとらえるのに効果的なのが、ある現象や状況を『キーワード化』すること。キーワードを見ることで読者に『そうそう、その気分!』と思ってもらうんです」

 

 「VERY」は創刊当時より、「シロガネーゼ」や「公園デビュー」などの言葉を生み出してきました。最近でも、「仕事をバリバリこなしながら家庭を大切にしている、イケてる旦那様」を意味する「イケダン」や、主婦の起業家「ミセスCEO」などの言葉が誌面から誕生しています。読者の対話から時代の空気やニーズをつかみ、「キーワード化」によって言い当て続けていることが、「VERY」成功の理由といえるでしょう。



 その「VERY」が新たな試みとして、主婦のためのソーシャルメディア「tagVERY」をスタートしました。ファッションや美容、インテリア、育児などをテーマにした発見や事柄を、タグと呼ばれるカードに整理し、投稿することができます。また、編集部をはじめ滝沢眞規子、鈴木六夏、クリスウェブ佳子などといった VERYの人気モデルが、随時タグを投稿。ユーザー同士が交流することも可能となっています。



 サイトデザインが、日本ではまだ一般的ではないもののユーザー数を伸ばしているSNS「Pinterest」風なのも、ウェブで小分類を意味する「タグ」という言葉をサイト名の由来となっていることも、「半歩先のリアル」を体現した結果と言えます。また、スマートフォンやタブレットのアプリもリリースされ、いつどこにいても簡単にタグを投稿できるとのこと。tagVERYが主婦文化を創出する新しい場所となる日も近いかもしれません。



【関連リンク】

・tagVERY

http://veryweb.jp/

・iOSアプリ

https://itunes.apple.com/us/app/tagvery/id662001669?mt=8

・androidアプリ

https://play.google.com/store/search?q=tagVERY&c=apps