北川景子
北川景子

 今年の大河ドラマどうする家康」。狸親父のイメージが強い徳川家康だが、本作では右往左往する若き家康が新鮮だ。ドラマを楽しむポイントを専門家に聞いた。

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■「天下一の美人」お市の方、本当に美人だった?

「乱世とは、まことに愉快な世であることよ。力さえあれば、何でも手に入る。力さえあれば、どんなに大きな夢も描ける。愉快この上ない。ただし男であればな」

 長い髪を束ね、低く通る声で語る北川景子演じる市。1月29日に放送されたNHK大河ドラマ「どうする家康」の第4回「清須でどうする!」で初登場し、ツイッターのトレンドワードに「お市の方」「北川景子」がトップ10入りするなど、世間の高い注目を集めた。

 織田信長の妹として、さらには「天下一の美人」として名高いお市の方。近江小谷領(現在の滋賀県長浜市)の国衆・浅井長政と結婚し、茶々(淀殿)、初、江の「浅井三姉妹」を産む。長政の死後は柴田勝家と再婚するなど、戦国の世で波瀾万丈の生涯を送った女性だ。

 そんな戦国時代の女性としてもっとも著名な一人であるお市の方だが、「その動向を伝える史料は極めて少なく、その生涯については概略しかわからないのが現状です」と、『お市の方の生涯──「天下一の美人」と娘たちの知られざる政治権力の実像』(朝日新書)を上梓した駿河台大学教授の黒田基樹さんは話す。

「しかし『たとい女人たりと雖(いえど)も、こころは男子に劣るべからず』と発言するなど、非常に信念の強い女性であったことが史料からは見えてきます」

 お市の方を語る上で忘れてはならないのは、「天下一の美人」というフレーズ。実際はどうだったのか。黒田さんによると、「天下一の美人の聞こえ有りければ」(『祖父物語』)という記述が史料にも残されているという。

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