林:そんな人たちがいるなんて。処刑だよ、処刑(笑)。

松任谷:アハハ(笑)。踊ったのは私じゃなくて、自分だもんね。

林:そういう人たちは消えていく運命だよ。

松任谷:そう思う。数字的最盛期のころのことをああだこうだ言った人たちは、みんな滅びてる(笑)。だって嫉妬から言ってるんだもん。私に嫉妬したら疲れるよ。ボールを壁打ちしてるようなもんで。だって、はじめから違うんだもん、存在が。偉そうに言ってるわけじゃなくて、自分の中から出てきてるものをやってるだけだから、批判の対象になり得ない。そんなところに食いついても、自分のエネルギーを無駄にするだけ。最盛期、第4次ブームぐらいのとき、ほんと風当たりが強かったよ。80年代後半から90年代。

林:このごろいろいろなものの形態がどんどん変わってきたし、CDも本も売れないし、テレビだって視聴率10%超えたら御の字じゃないですか。世の中がそんなふうに推移してるんだから……。

松任谷:わかりやすく言っちゃえば、物から事へ移ったりとか、さっき言ったように3次元的なことではなく、5次元を目指して、そういう記憶を自分の中に蓄積するというか。

林:ユーミンって年をとらないし、体力も落ちてないでしょう?

松任谷:落ちてはいるけれど、すぐ自分にアラームが鳴るから、反応が早いとは思う。「ヤバいな」ってことにすごく早く気づくので、自分と毎日向き合ってる。トレーニングもしてるし。

林:矢沢の永ちゃんが「ロックシンガーはフォルムだからね」って言ったけど、確かにそうですよね。パッとライトが当たったときに、太ったおばさんだったらまずいもんね。

松任谷:そうね。特にいまAIと共演してると、AIとの親和性が高くないとね。私だからアバターをつくれると思う。もっとアバターが一般的になってくれば、いろんな形のアバターが出てきていいけれど、いまは差し当たって最先端に見せるためにも、自分の(体の)ラインをちゃんとしておかないとね。

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