今年デビュー40周年を迎えた、女優で歌手の原田知世さん。10月5日には、キャリア初のオールタイム・ベスト「原田知世のうたと音楽~デビュー40周年記念ベスト・アルバム」が発売される。大ブレークのきっかけとなった映画とその主題歌「時をかける少女」から、現在に至るまでの40年を振り返りつつ、変わらぬ愛らしさと透明感を保ち続ける秘密をひもとく。
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「振り返るといい出会いをたくさんいただいて幸せな日々を送ってこられたんだなって思います。年齢も50代になって、ひとつひとつの日々の出来事をじっくりと感じながら、大事に生きなきゃいけないと感じています。ここ数年の世の中の流れもそうですし、明日どうなるかわからないことってすごくありますからね」
──大林宣彦監督が手がけた初主演映画「時をかける少女」(1983年)が大ヒットし、同名タイトルの主題歌はオリコン2位を獲得した。リメイクも多い不朽の名作だ。
「中学の卒業から高校入学までの春休みを利用して撮影がおこなわれました。私自身もひとりの女の子として少しずつ成長や変化をしている時期でした。その微妙な、その瞬間にしか撮れなかった特別な作品だったと思います。また、あのタイミングで角川春樹さんが『時をかける少女』という作品を(映画化するために)選んでくださって、そこに大林監督、音楽は松任谷由実さんが作ってくださって、マジックというか奇跡が起きたんだと思います。その喜びもありますし、幸運をいただいたというのを実感しています」
──毎年冬になるとオンエアされる映画「私をスキーに連れてって」(87年)も代表作のひとつだ。
「あの時代のエネルギーというか、みんながウキウキ生き生きとしていて、仕事も遊びも頑張っている、いい時代の匂いがありますね。今はあんな生活を送っていなくても、日本にはこんな時代があったよね、いい時に20代を過ごせたねって思えるような。大人たちが全力で遊んで楽しんでいる姿が詰まっている作品だと思います。馬場康夫監督の企画のおもしろさとか、リアリティーやちょっと一歩先行く遊び方だとか。撮影しているときには考えなかったですけど、今になって見るとすごく感じますね」