COVER STAFF:撮影・木村哲夫/ヘアメイク:菅井彩佳(NICOLASHKA)/スタイリング:小林 新(UM)アートディレクション:福島源之助+FROG KING STUDIO/衣装協力 ワンピース¥71,500/イッセイ ミヤケその他スタイリスト私物
COVER STAFF:撮影・木村哲夫/ヘアメイク:菅井彩佳(NICOLASHKA)/スタイリング:小林 新(UM)アートディレクション:福島源之助+FROG KING STUDIO/衣装協力 ワンピース¥71,500/イッセイ ミヤケその他スタイリスト私物

──今までで一番印象に残っている作品は?


 最近だと、「殺さない彼と死なない彼女」(2019年)です。この作品では、「きゃぴ子」という、母親から愛されなかった過去がトラウマになって、全人類に愛されたいと思っている女の子を演じました。そのときも、今回の作品のように、スタッフさんもかなり人数を絞ってミニマムで撮影させていただいて。小林(啓一)監督も現場で私のお芝居を見ながら、「こうしてほしい」と言ってくださって、良い作品になるように何度もテイクを重ねました。「殺さない彼と死なない彼女」や「オカルトの森」もそうですけど、一連で撮ったりとか、光を大事にしたりとか、ゆったりとしていて、お芝居をちゃんとしているな、っていう感覚があって、好きな作品です。


■生まれた迷い 再び“原点”に


──15年のデビュー作「テミスの求刑」(WOWOW)と今作で、ご自身のなかでの変化はありましたか?


 デビュー作のときは何もわからないなかでお芝居の世界に入ったので、怖いものがなかったんですね。なので、いい意味で遠慮もなくて、思ったとおりに、感じたままに心が動いてお芝居をしていたなあ、っていうふうに思っていて。このお仕事を始めて8年くらいたつんですけど、そのなかでいろんな経験をさせていただいて、ナチュラルで自然体な演技が自分の強み、得意な分野だな、と考えていました。でも、原作ものや、セリフとかも語尾を変えずにきっちりとそのまま言わないといけない作品、オーバーにお芝居する作品もあって、そのときに自分の得意としていた「ナチュラルさ」を見失いかけているとまではいかないですけど、考えていたんです。そんなときに、“原点”のWOWOWさんで主人公を演じさせていただいて、またそれがすごく運よくフェイク・ドキュメンタリーというテーマでもあったので、できるだけナチュラルで自然体に近いお芝居をするっていうので、自分の課題になっていたところをもう一回見直すことができた現場でした。そこを含めて、ある意味“原点”にまた戻ったなあ、っていう感じがします。


(構成/本誌・唐澤俊介)

週刊朝日  2022年9月9日号

次のページ