加藤清史郎(かとう・せいしろう)/ 2001年、神奈川県生まれ。1歳1カ月で芸能界デビュー。09年、NHK大河ドラマ「天地人」で主人公の直江兼続の幼少時代を演じ、話題に。同時期に放送していたトヨタ自動車のテレビCMで「こども店長」の愛称で親しまれる。3年間、イギリスの高校に留学。20年に帰国後も、ドラマ「ドラゴン桜」(21年)やミュージカル「ニュージーズ」(同)、「るろうに剣心 京都編」(22年)など、話題作に多数出演。7月からは、月9ドラマ「競争の番人」にも出演している。(撮影/写真映像部・高野楓菜)
加藤清史郎(かとう・せいしろう)/ 2001年、神奈川県生まれ。1歳1カ月で芸能界デビュー。09年、NHK大河ドラマ「天地人」で主人公の直江兼続の幼少時代を演じ、話題に。同時期に放送していたトヨタ自動車のテレビCMで「こども店長」の愛称で親しまれる。3年間、イギリスの高校に留学。20年に帰国後も、ドラマ「ドラゴン桜」(21年)やミュージカル「ニュージーズ」(同)、「るろうに剣心 京都編」(22年)など、話題作に多数出演。7月からは、月9ドラマ「競争の番人」にも出演している。(撮影/写真映像部・高野楓菜)

林:それで向こうの授業についていけたんですか。

加藤:ついていくのは大変でした。留学が決まってから英会話教室にも通っていましたが、その程度で向こうに行ってしまったので……。「聞く」ことに関しては、ほぼ向こうに行ってから習得したと思います。

林:耳がいいんじゃないですか?

加藤:人より耳が大きいので(笑)。それでも壁にはぶつかりました。街なかで聞く英語って、学校の授業で習うものと違うので、「これが言えないと僕は電車に乗って家に帰れないんだ」という緊張感もありましたし、最初のころはぜんぜん聞き取れませんでした。

林:なるほどね。

加藤:いちばん言語の壁を感じたのは、アクターズスクールに通っていた時期で、向こうの同年代のティーンたちと即興芝居をするんです。たとえば「お別れ」という言葉からお芝居をつくる。5分間話し合って、「誰が上手(かみて)から出て、誰がどのタイミングでどうするか」といったことをみんなで話すのですが、会話のテンポが速いんですよ。「こうしたいんだ」という自分の意思がこもっている10代の子の英語って、マシンガンのように速いんです。それを聞くだけで精いっぱいで、自分の意見を何も言えませんでした。

林:悔しかったでしょうね。

加藤:悔しくて悔しくて、「うわ、英語むずかしい~!」と思っていました。

林:そこでメゲなかったのがすごいですね。

加藤:行きの電車、帰りの電車は本当に憂鬱(ゆううつ)でした。「いまから英語地獄だ……」と思ったり、終わったあと、「あの英語、そういう意味だったんだ。だったらあの芝居は成り立っていなかったかもしれない」と思っているうちに乗り過ごしたり、「きょうはテンション上げるためにハンバーガーを食べるぞ!」と思って行って、買って袋を開けてみたら、思いどおりに注文できていなかったりとか……。

林:途中で日本に帰ろうとは思わなかったですか。

加藤:思わなかったです。楽しかったですし、間髪入れずに話す瞬発力は、そういうところで学べたと思います。

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