結城市のふるさと納税の返礼品に採用された核シェルター
結城市のふるさと納税の返礼品に採用された核シェルター

 一方、日本の普及率は0.02%。全国民約1億2526万人のうち、約2万5千人しかシェルターに入ることができない計算になる。

 有事の際に日本では、どのような場所に避難することが可能なのか。

 国民保護法に基づき、都道府県は各市区町村に対し、有事の際の避難施設を指定するよう要請している。だが、その施設の一覧を見ると、ほとんどは小学校や公民館、高齢者施設といった既存の民間施設だ。そんな施設でミサイル攻撃や核攻撃から国民を守ることができるのだろうか。

「避難施設は基本的には耐震性を備えた鉄筋コンクリート、鉄筋鉄骨コンクリートの造りですが、ミサイルや核などへの耐性の評価はないため不明です。事態発生当初においてはできる限り堅牢な建物や地下施設などに一時退避することになっておりますが、その後に避難者を収容する避難所としての施設になります」(東京都千代田区)

「例えば東京駅でテロ攻撃にあうとか、どこか特定の場所がミサイルの標的になるとか、そういった場合の避難方法などを示した要領はまだ定めていないので、新年度以降に策定しようと思っています」(同中央区)

 両区に限らず、国内で核兵器による攻撃を想定した避難方法などを考えている自治体はおそらく多くはないだろう。

 今回、ウクライナの首都キエフでは、約1万5千人の市民がキャリーバッグを持って地下鉄の駅に避難した。キエフの地下鉄は旧ソ連時代に造られており、深いところでは地下105メートルにある。核シェルターとしての役割もあるといい、キエフ市内にはこうしたシェルターが相当数あるという。

 日本の地下鉄で最も深い駅は、都営大江戸線の六本木駅で地下42.3メートルだ。首都圏で有事の際は、都民は地下鉄に避難すればいいのだろうか?

 軍事ジャーナリストの小西誠氏はこう説明する。

「爆風による被害は地下鉄で大丈夫だと思うのですが、日本の場合は外の空気がそのまま入ってきますから、有毒ガスや放射能は防げません。それらに備え、空気清浄などもしっかりしないとだめですね。日本にはそういった施設はほぼ皆無なので、個人で対策するとすれば、それこそ核シェルターを購入するなどしないと防げないです。沖縄県の米軍嘉手納基地の地下には、米軍が核シェルターを用意しているとも言われていますが、自衛隊にはそういった話はないです」

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