ラリビエー監督
ラリビエー監督

 サンダーバードを経験したスタッフ陣は、のちに「007」シリーズや「スター・ウォーズ 帝国の逆襲」のSFX(特殊撮影)など、名だたる作品で才能を発揮する。「ウルトラセブン」など、日本の特撮にも影響を与えた。

 樋口さんはサンダーバードの撮影技法の特徴を、「規模が非常に小さいこと」と捉える。

「驚くほど狭いステージで撮影されているのですが、その範囲で撮れることを突き詰めている。光線の合成なども行わず、そこで撮るものだけで完結するようなものを、しかも一発撮りで決めているというすごさです」

作品のポスタービジュアル
作品のポスタービジュアル

 そんな伝説の名作が、日本語劇場版「サンダーバード55/GOGO」として、日本放送から55年の時を経て蘇る。冒頭のエピソードで樋口さんが仰天したのは、英国の熱狂的ファンが制作した3話の“新作”。それを当の樋口さんが日本での公開用に構成し、一本化した。ここで樋口さんが仕掛けたことがある。

「ジェリー・アンダーソンがサンダーバードを経てたどりついた、『謎の円盤UFO』という傑作がある。その日本語版でナレーターを務めた矢島正明さん。『スター・トレック』のカーク船長の吹き替えやリポビタンDのCMでも有名ですが、せっかくの機会にぜひご登場いただきたく、公私混同のようにお願いしました。特撮ファンには驚いてもらえるのですが、そうでない方は気づかないと思うので、ぜひ、書いておいていただければ(笑)」

 新作エピソードの監督の一人でプロデューサーも務めるスティーブン・ラリビエーさんは現在37歳で、リアルタイムで放送を見ていない世代。英国在住のラリビエー監督に、リモート取材を敢行した。

「土曜の朝の再放送を見るのが楽しみで、第4話の『ニューヨークの恐怖』というエピソードが印象に残っています。他に同じような作品はありませんでしたし、昔の作品だとは全く感じませんでした」

 サンダーバードの魅力について、こう語る。

「まずストーリーテリング、ドラマ性の高さがあります。映像は決してものすごくリアルではありませんが、本物らしく見せるためのスタイルが確実に存在していました」

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