林:へぇ~、そうなんですか。

獅童:最近は「ウルトラマン」よりも歌舞伎のDVDとかユーチューブを見てるんですよ。チョンマゲと刀が好きで、CSの「時代劇専門チャンネル」を見たいって言うんです。いつも刀を持って遊んでいて、僕は斬られ役です(笑)。時代劇と歌舞伎の区別がついてないのかもしれないですけど。

林:でも、それはとても楽しみですね。

獅童:コマーシャルで岡田准一さん主演の「燃えよ剣」が何回も流れて、「これ見たい」って言うんで、映画館で見せたんですよ。

林:ですが、あの作品、残酷なシーンがけっこうあるじゃないですか。

獅童:だからちょっとまずいかなと思ったけど、最後まで見てましたね。女性が出てきたとき、「あの人、舞妓ちゃん?」って。

林:お父さん、祇園に連れてってるんじゃないの?(笑)

獅童:このあいだ家族だけでお茶屋さんに食事に行ったときに、舞妓さんの手を引っ張ってどこかに行っちゃったんですよ。いちばんきれいな舞妓さんを連れて。

林:ちょっとォ~(笑)。

獅童:2時間ぐらい戻ってこなくて、何やってるのかなと思って小部屋をのぞいたら、舞妓さんと一緒に折り紙を折ってました(笑)。

林:歌舞伎の方って、そうやって子どものときからああいう世界になじむんですよね。

獅童:いや、僕は30歳すぎてからです、そういうところに行ったのは。(中村)勘三郎のおにいさんが「なんだ、お茶屋行ったことがないのか。じゃあ行こう」と言って連れていってくださったんです。僕らふだんはまるっきり現代の生活だし、谷崎(潤一郎)さんの『陰翳礼讃』じゃないけど、薄暗い中での色気とか、日本特有の色っぽさとかを知っているのと知らないのじゃ、芝居が変わってきちゃうんじゃないかと思いますね。

林:なるほど。「獅童」っていう名前は?

獅童:うちのおやじが(歌舞伎を)やめる前の子役時代に名乗ってた名前で、僕がうちの祖母に「舞台をやりたい」と言ったときに、「いい名前があるわよ」と言って、それが「獅童」だったんです。「獅童」は祖父の俳名でもあり戒名でもあって、お墓に「ナントカ獅童」って書いてあるんです。

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