丸山茂樹
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 ゴルファーの丸山茂樹さんは、石川遼選手が今後目指す米下部ツアー挑戦の報道に持論を展開する。

【写真】日体大3年の中島啓太選手

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 いやあ、すごいですね。日体大3年の中島啓太(21)が「パナソニックオープン」(9月23~26日、京都・城陽CC)で日本男子ツアー史上5人目のアマチュア優勝を果たしました!

啓太、やっとうれし泣きができたね (c)朝日新聞社
啓太、やっとうれし泣きができたね (c)朝日新聞社

 永野竜太郎(33)とのプレーオフで勝っての優勝でした。ここまでの練習内容とか自分が積み上げてきたこと、それから開幕戦の「東建ホームメイトカップ」で金谷拓実(23)に1打差で優勝を奪われたこと。そういうのが彼の中で力になって、実を結んだんでしょうね。

 強い選手の共通点というのは、失敗したときのことも含めてすべてを次に向けてのステップにしてるところなんです。失敗したら何が足りなかったのか考えて、「こうなったら、こうしよう」というのがとっさにアイデアとして出てくるからこそ、プレーオフのような土壇場での力につながる。まさに啓太はそんな感じがします。

 ジュニアのころから彼のことはよく見てきましたけど、いつも一生懸命頑張ってる子で、高校生になったぐらいから彼の力が発揮され始めた。すると、あっという間に世界アマチュアランキングで1位になりました。そこへいくまでに味わった負けたり勝ったりの経験が彼のパワーになって、いまの中島啓太を作り上げた。今回の優勝で改めてそう思いました。

 来年11月の大学の試合が終わるまでプロには転向しないみたいですね。素晴らしい選択だと思います。大学でしか経験できないこともありますし、出場権を持ってる全米、全英オープンで経験値を高めてからプロになるということですね。

 急にプロになってどうこうと慌ててないところなんかも、非常に賢いのかなと。もちろん大学でお世話になった恩返しもあると思うんですけど、そういうことを踏まえたうえで力を蓄えてプロになるという選択は大賛成ですね。

 11月の「アジアパシフィックアマチュア選手権」で優勝してマスターズの出場権を手にするのが、彼の当初からの大きな目標だそうですね。松山英樹(29)にしても金谷にしても通ってきた道ですから。やはり同じことを達成したいというのは、啓太の中で高いモチベーションになってるはずです。今回つかんだ自信をぶら下げて、しっかりと目標に向かって頑張ってほしいと思います。

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丸山茂樹

丸山茂樹(まるやま・しげき)/1969年9月12日、千葉県市川市生まれ。日本ツアー通算10賞。2000年から米ツアーに本格参戦し、3勝。02年に伊澤利光プロとのコンビでEMCゴルフワールドカップを制した。リオ五輪に続き東京五輪でもゴルフ日本代表監督を務めた。セガサミーホールディングス所属。

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