買収された広島県議の1人は不満気にこう語る。

「河井被告が最初から認めていれば、コロナ禍に東京地裁や東京地検に呼び出されることもなかった」

 だが、克行被告が買収の容疑を認めたことで買収された側の県議や市議の起訴、不起訴の判断も早くなりそうだ。

「起訴されて公民権停止なんて、むちゃくちゃや。そうなれば克行被告に責任を取ってもらうぞ」(前出の県議)

 2900万円という巨額のカネをばら撒いた克行被告。公民権停止で選挙には出馬できなくなる。元東京地検特捜部の落合洋司弁護士はこう解説する。

「議員辞職して反省しても実刑の可能性が高い。おそらく2~3年が言い渡されると思います。現職の国会議員の選挙買収で現金2900万円は、過去に例がないほど巨額です。ただ克行被告の法廷を聞いていると、非は認めるが罪は簡単には認めないとも聞こえる。これまで徹底して争ってきた。そう簡単にひっくり返るのか、疑問に感じる」

 法廷で「自ら犯した罪、いかなる処罰も受け入れる」と話した克行被告。1億5千万円の真相は永遠に「封印」となってしまうのか。

(今西憲之)
※週刊朝日オンライン限定記事