林:女性の作家って、実力次第では編集者を怒鳴ったり、すごいヒステリックなんじゃないかと思われたり、恋愛小説を書く作家だと恋多き女性を連想する人もいるだろうし、生活が謎のベールに包まれているというか、わからないだけに演劇的におもしろいのかなと思いますね。
大地:そうですね。だから人物像のつくり方も演じ方もいろいろあっておもしろいだろうなと思います。
林:神田沙也加さんもお出になるんですね。
大地:そうです。アーリーンという助手の役で。
林:沙也加さんは、ふだん大地さんのことを「ママ」って言ってるんですって?
大地:そうなんです。彼女が14歳ぐらいのときから知っています。本人は「追っかけしてた」と言ってますけど、一人でキャリーバッグを引いて私の地方公演を見に来てくれたり。彼女がお仕事からちょっと遠のいていたときに、「舞台やらない?」って誘ったんです。それがきっかけでお仕事に復帰したので、「舞台の母」みたいな感じで「ママ」って言うんです。
林:年下の若い人にそこまでよくしてあげるって、なかなかできないことですよ。
大地:彼女の持つ人徳というか、そういうところもあると思うんですね。困ったときにしか電話かけてこないんですけどね(笑)。
林:相手役の別所哲也さんとは、何回もご一緒してるんですか。
大地:いえ、初めてなんです。うちの主人(インテリアデザイナー森田恭通氏)のほうがよく知ってるみたいで。
林:大地さんみたいにたくさんのキャリアを積んでらっしゃると、お稽古が始まって何日ぐらいでここまでやって、次はここまでやって、そして初日を迎えようという計算は、きっと全部できてるんでしょうね。
大地:それが私、感覚派で……。全体の輪郭からとらえていって、セリフの裏を読み取りたくて、このほうがいいかな、いやこっちのほうが伝わりやすいかな……と、セリフを完全に覚えるのはわりと最後なんですよ。
林:ほォ~、そうなんですか。
大地:だから毎回、演出家の方はハラハラされてると思います(笑)。