「老夫婦がそろって入院してペットが残されていたという相談を受けたのをきっかけに会が発足しました。行政や市民活動団体などと連携して情報を共有しています」

 清瀬市が作成したエンディングノートには、ペットに関する項目も加えられた。健康なうちに、将来ペットを託せる人の名前を書き出すことで具体的に預かってくれそうな人に相談するきっかけにもなる。

 東京農業大学教授の大石孝雄さん(伴侶動物学・動物遺伝学)は、飼い主の健康寿命との寿命を計算して備えておくことを勧める。

「猫の平均寿命が15歳であることを踏まえて、将来、代わりに面倒を見てくれる人を確保しておくべきです。その際、餌代程度の持参金を渡すことを検討してもいいでしょう。餌代よりもかかるのがペットの医療費ですが、ちゃんと獣医に見せてケアをしてくれる後見人を選ぶことも重要です」

 猫だけでなく自分や家族の心配も必要な災害時については、こんな回答があった。

<東日本大震災の時、避難所に入れないと知り、自家用車をワンボックスカーに乗り換え、後部荷室で暮らせるように改造した>
<災害時は極力自宅避難を想定して物資(エサなど)を備えるつもり>

 環境省は東日本大震災での事例を基に「災害時におけるペットの救護対策ガイドライン」をまとめて飼い主を啓発している。避難生活に備えてケージやキャリーバッグを嫌がらないよう慣らしておくこと、各種ワクチン接種や寄生虫の予防・駆除を行っておくことなどが勧められているので参考にしたい。

 癒やしを求めるだけでなく、様々な備えも必要な猫との生活。60代の回答者からは、<這ってでも猫が死ぬまで死ねない>という声も寄せられた。猫も人も長生きする時代、うまく共生できる仕組みを整える必要がありそうだ。(本誌・岩下明日香)

週刊朝日  2020年12月18日号より抜粋