国会で答弁する菅首相(C)朝日新聞社
国会で答弁する菅首相(C)朝日新聞社

 菅義偉首相の後援者が転売禁止を破って行った神奈川県有地の転売疑惑で国会が揺れている。問題の土地は横浜市保土ヶ谷区の約3000平方メートルの県有地で、菅首相と親しい後援者に2015年に売却された直後、転売禁止条項を無視して転売され、約2億円の利益をあげたという。

 疑惑の土地には反社会的勢力が関与していたことが本誌の取材で明らかになった。

 疑惑の口火を切ったのは週刊新潮(11月5日号)で、舞台となった土地は横浜国立大学近くの住宅街に位置する。2014年の神奈川県県有財産表には<元常盤台公舎 土地面積 3007.77 平方メートル価格3億7555万4千円>と記されている。元常盤台公舎というのは、以前建っていた警察官舎のことだ。それが廃止となり、2015年に不動産会社「成光舎」(横浜市中区)が約3億8千万円で取得したという。

 県有地なので競争入札に付されるのが一般的だが、随意契約となった。

「成光舎が隣接する土地をすでに所有し、保育所か、学生寮を建設すると県に説明。10年間の転売禁止条項がついて売却されました」(神奈川県関係者)

 だが、保育所や学生寮は建設されず、成光舎は関連会社に転売。その後、大手住宅メーカーに転売し、約2億円を得たという。

 成光舎は菅首相と深い関係があることも明らかになった。菅首相の政治資金管理団体「横浜政経懇話会」などに対し、2007年まで計340万円以上を政治献金。だが、両者の関係はそれだけではない。

 菅首相は07年、事務所費問題が持ち上がった。菅首相が代表を務める自民党神奈川県第二選挙区支部や政治団体は、(菅氏が個人的に)所有する横浜市内のビルが所在地になっているにもかかわらず、事務所費を計上していたことが問題化した。

 その後、成光舎が菅首相からビルを購入。ピンチを救ったという。さらなる問題も浮上した。

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土地取引の裏に反社会勢力との関係