自転車運転技術を過信しているだけではない。高齢者の問題として、法令遵守の意識が低いことも挙げられる。前述の警察庁発表によると、高齢者での死者(第1・第2当事者)の79%が法令違反をしていた(高齢者以外は72%)。特に目に付く違反は、安全不確認の20%(同前12%)。自動車や歩行者の見落としをしないよう心がけたい。

 ブリヂストンサイクルの大槻浩太郎氏は、シニア向けの自転車講習会で指導を通じて気になった点があるという。一時停止をきちんとしない人が多いというのだ。

「完全に止まったなら、また漕ぎ出すのは大変なんですよね。それで、止まらずに行けるものなら止まらないという方がいるんです」(大槻氏)

(本誌・菊地武顕)

週刊朝日  2020年10月30日号より抜粋