「欧米の企業に比べ、5Gのほか、AIやITへの研究開発に回すお金が少ない。活用が遅れれば、新しいサービスやビジネスが生まれず、さらに研究や開発に回す余裕がなくなる悪循環に陥ってしまいます。悪循環を断つためにも、経営者の意識や戦略を切り替える必要があります」

 ブロードバンドタワーは18年、5Gに対応したデータセンターを東京・大手町に開設。利用企業が主要なネットサービスやクラウドサービスと直接つなげられるようにした。また、窒化ガリウムという素材を使って電力消費量が少ない高効率の基地局向け装置の開発に取り組むなど、事業を通じて「利用する側」の企業を支援していく考えだ。

 独立系のシステム構築大手で、キャッシュレス決済などのサービスも手がける2位のTISも、「高速で信頼性の高い通信手段である5Gが広がれば、より安全で便利な決済サービスが提供できる。さらに、5Gの普及によって新しいサービスや産業が生まれれば、キャッシュレス決済そのものの需要が増え、当社のサービスの利用も広がる」(コーポレートコミュニケーション部)などと期待している。

 スマホの買い替えや通信インフラの整備は途上だが、「5G元年」と言われる今年。飛躍のきっかけをつかむの社はどこか。(本誌 池田正史)

※週刊朝日オンライン限定記事

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池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

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