その時だった。選手たちが敵地の福岡ドームの中でロッテファンが小さく陣取ったレフトスタンドを見ると、「I BELIEVE」と書かれた横断幕でぎっしりと埋め尽くされていることに気づいた。前回登板で失敗した小林へのエールだった。この横断幕を見た捕手の里崎智也は「ファンが信じているのに、何で俺が信じてないんや」と考え、直球主体の強気の配球で勝負。見事に1イニングを0点に抑え、パ・リーグを制覇した。

 今回のコロナによる12人登録抹消でも、ロッテファンは熱い声援を送っている。すでにツイッターでは「#コロナに負けるな千葉ロッテ」というハッシュタグが登場し、トレンドランキングで1位に。「コロナにかかった選手たちが1日も早く復帰できますように」「どんな困難があろうとも千葉ロッテと共に戦う」といった応援コメントが相次いでいる。その声に他球団ファンも応じ、「鷹ファンだけど応援してます!!がんばれ!!」といったエールを送っている。

 では、ロッテがコロナ危機を乗り越えて逆転優勝をするためのカギはどこにあるのか。

 まずは、5人が登録抹消された外野陣の穴を誰が埋めるかだ。注目されるのは、6日に1軍登録されたドラフト3位のルーキ・高部瑛斗外野手。高部はケガで開幕に出遅れたものの、復帰後は2軍で打率3割6分8厘を記録している。2軍での規定打席に達していないが、この数字はイースタン・リーグでトップ。“影の首位打者”だ。

 もう一つのポイントは、宗接唯人捕手を1軍登録したこと。現在、ロッテには田村龍弘、柿沼友哉、佐藤都志也の3人の捕手がいる。通常、各球団の捕手登録は最大3人。あえて宗接を登録したのは、「打てる捕手」として打撃力が評価されている佐藤を“4人目の捕手”にして、DHや外野手としての出場機会を増やすためと思われる。また、2軍で英才教育を受けていた大阪桐蔭高出身の藤原恭大外野手も1軍登録された。今シーズンは2軍で打撃不振に陥っていたが、夏場から打撃の調子を上げている。

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逆境に熱くなるマリーンズファン