二つ目のポイントは、「すべての出来事の肯定的な側面を見つける」という習慣だ。

 あらゆる出来事をポジティブに解釈することと誤解されやすいが、そうではない。どんなにネガティブな出来事であっても、そこに何かプラスの側面を見つけようとする習慣を意味する。

 今回のシリーズの半沢も、実はここから始まった。東京中央銀行から東京セントラル証券へ出向という形で“左遷”されても、証券会社のために役に立とうと奮闘。文句一つ言わず、肯定的な側面に目を向け、部下らと目の前の仕事を進めた。

 私たちの生活でも、例えば体調を崩してしまうことはネガティブなことだが、改めて健康の大切さを痛感する。これに気づけたことは、病気の肯定的な側面だろう。病気をしたことで周囲の優しさに触れ、人のありがたさや温かさ、愛情を実感する機会にもなる。大病を、自身の生活習慣を抜本的に見直すきっかけにする人もいる。結果的に大病を患う前よりも、元気になったという人を私はたくさん見てきた。

 コロナ禍のいまも、マイナスにとらえるのは簡単だが、プラス面にも目を向けてほしい。何げない日常が当たり前ではなかったと再認識できる。無駄の多い生活に気づき、断捨離に励んだ人も多いはずだ。

 三つ目のポイントは、行動を変えてみることだ。自己肯定感の低い人は「Yes」や「No」の意思表示が苦手。少し考えれば無理な依頼も、あいまいな対応で受け入れてしまうことがある。

 その結果、往々にして次のような結末に至る。

(1)期限ギリギリになって「やっぱり無理でした。何とかならない?」と泣きを入れる。
(2)期限を過ぎているのに依頼されたものを提出できない。
(3)完成度が低い状態、いわゆる“やっつけ仕事”で提出してしまう。

 これでは結果的に、自分にも相手にも得はない。やはり無理なら最初の段階で、「No」と意思表示をすべきだったのだ。

 とはいえ、アタマでは理解していても、「オール・オア・ナッシング(すべてか無か)」の発想で、「Yes」もしくは「No」をなかなかハッキリ言えないのが、私たち日本人の悲しい性──。

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