では、「繊細さん」に周囲はどう接したらよいのか。繊細な人が悩んでいるように見えても、「落ち込んでもしょうがないだろ」などと言って飲みに連れ出すのは逆効果になる可能性があると、前出の内田さんは指摘する。

「HSPの傾向がある人は、悩んでいるときは一人になるのが一番落ち着くという場合が多い。飲みに行けば自分より人の気持ちを優先してしまうからです。『元気が出たか』と聞かれれば、気を使って『はい』と答えてしまうでしょう」

 まず、よく話を聞くことが基本だという。

「『どうせわかってもらえない』と精神的にブロックしている場合が多いので、周囲の人はまずは話を聞いてあげること。批判されないとわかれば、徐々に要望や考えを言えるようになるので、それに沿って、本人のためにできることをしてあげればよいのです」(内田さん)

 内田さんがHSPの子どもをうまく育てている母親に話を聞くと、子どもの得意な部分を生かし、苦手なことは一緒にどうするかを考えている人が多かった。得意なことで自信がつくと緊張度が下がり、社会に溶け込みやすくなるのだ。

「繊細さん」の理解者が増えてくれば、よりよい相乗効果が生まれてくるかもしれない。(本誌・岩下明日香)

週刊朝日  2020年9月25日号