自力で対処するだけでなく、専門家に相談するのも一つの手だ。HSPの相談を受ける心理カウンセラーの内田裕司さんは、カウンセリングのプロセスをこう説明する。

「HSPの人は自己肯定感が低い場合が多く、『自分が悪いから変わらなければならない』と思い込み、行き詰まってしまう傾向がある。まずはHSPであることの自己理解を進め、自分は本来どうしたいかに目を向けることで、自分に合った環境を選べるようになっていきます。次に、自分の特性を人に伝え、周囲とうまく共生していくすべを身につけていきます」

 周囲に突然「私はHSPだ」と宣言すると余計に追い詰められる恐れもある。そこで内田さんは「人見知りなところがあります」「ちょっと気にしすぎるところがあって」などと気質を表すサインを送ることを勧める。

「HSPは5人に1人いるわけですから、理解者はいるはずです。職場に一人でも理解者がいると安心でき、緊張度は低下します。ただ、向こうから見つけてはくれないので、自分からサインを送りつつ、安心できる人の協力のもとで環境を整えていくことが重要です」(内田さん)

 当事者同士が協力する動きも広がっている。「HSPカフェメリッサ」を主宰する秋池葉子さんは、横浜市などの公共施設でHSP当事者を集め、定期的にお茶会を開いている。秋池さんもHSPだ。

「HSPの概念が認知されてきたのは、ここ3年くらいのこと。自分がそうなのかを確認したい人を含め、当事者同士が安心して会話や相談ができる機会としてお茶会に足を運ぶ人が増えています」

 これまでの参加者は800人ほどで、コロナ下でもオンラインで継続されている。2013年の活動開始時は1回3人ほどだった参加者が、20人以上に増えた時期もあった。8割が女性だが、男性も増えてきている。

「悩みを打ち明け共有することで自分とは違った視点で見ることができるようになり、その人なりの改善策を得るヒントにつながります」(秋池さん)

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