「お後がよろしくないようで」。8年近く続いた“安倍劇場”の支配人ならこうユーモアを利かせて舞台の幕を閉じるだろう。体調不良が原因の首相退陣は気の毒ではあるが、安倍晋三、昭恵夫妻は様々な禍根を残した。実はそんな夫妻の「負のレガシー」がまだあったのだ。
【画像】詐欺まがいの行為に利用されたという安倍夫妻が登場した雑誌がこちら
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公文書改ざんなどの問題を招いた森友問題。昭恵氏は学園の名誉校長を務め、籠池夫妻との写真が使われた。「桜を見る会」では、招待された元会社社長が秋元司衆院議員の買収事件にからんで逮捕された。この人物は、昭恵氏が運営にかかわる複合施設の運営資金の一部を出資。昭恵氏とのツーショット写真は、マルチ商法の道具に利用されたあげく、同社は消費者庁から業務停止処分を食らった。これでさすがに打ち止めかと思ったら……。
「ポリスマガジン」という警察専門雑誌がある。この雑誌、安倍家とゆかりが深い。安倍首相の父、晋太郎氏の秘書で元山口県警OBだった人物が、1987年に「日本警察新聞」として創刊し、2001年に改名したのがポリスマガジンという。全国の警察本部、警察官の日々の防犯・防災活動などを紹介し、「警察官とその家族が主な読者」(関係者)という月刊誌だ。
現在は、安倍夫妻のキューピッド役を務めたという地元山口県のメディア幹部だったA氏が編集・発行している。防災訓練を視察する安倍首相の大きな顔写真が巻頭を飾ったこともある。
「このポリスマガジンや、昭恵氏のインタビューが載ったファッション誌などが詐欺まがいの行為に利用されました」
こう告発するのは投資詐欺トラブルに巻き込まれたという村山春子さん(仮名)。舞台になったのは東京都内にある「Shunka」というイベント開催企業だ。
Shunkaは「Hana倶楽部」という中高年女性中心の親睦団体に、女性会員を募って芸能人を招いたイベントなどを開催する一方、その裏で「約1~3割の高配当」をうたって女性会員から、水やゲーム機、土地などを対象に多額の投資金を集めていた。その会員を信用させるのにポリスマガジンが使われた。