<合法的に治療行為を絞って死にいたるプロセスが定められています。国がおすすめしているのは、本人や家族が「人生会議」を開いて延命処置を行うかどうかなどを決めておき、必要なときにはそのように対応する><脳梗塞や脳出血でコミュニケーションが取れなくなったら、もう家族が適当に「元気なころの本人の意志」をでっちあげることもできます>

 安楽死を肯定するような内容が列挙されていた。

 また、別の日のブログでは、特定の薬物名をあげて、<平穏死する方法>と安楽死をうかがわせるような記載もある。

 そして、女性を殺害したとみられる昨年11月の大久保容疑者のSNSには、<安楽死して遺族が年金もらう、とかこれから流行るかもな><安楽死外来(仮)やりたいなあ>と意味ありげな内容もある。

 一方、山本容疑者はSNSの自己紹介で<日本のED治療(男性機能)専門院を経営している40代の医師>と書き、東京都内でED治療のクリニックを経営。

 大久保容疑者と山本容疑者のつながりは、ブログと同じタイトル『扱いに困った高齢者を「枯らす」技術:誰も教えなかった、病院での枯らし方』という共著を電子書籍で出版していること。事件発覚後、電子書籍は買えない状態となっているが、紹介文にはこう記されていた。

<「今すぐ死んでほしい」といわれる老人を、証拠を残さず、共犯者もいらず、スコップや大掛かりな設備もなしに消せる方法がある。医療に紛れて人を死なせることだ。病室に普通にあるものを使えば、急変とか病気の自然経過に見せかけて患者を死なせることができてしまう。違和感のない病死を演出できれば警察の出る幕はないし、臨場した検視官ですら犯罪かどうかを見抜けないこともある。荼毘に付されれば完全犯罪だ>

 こちらも安楽死を思わせるような内容が記されている。

「難病に絶望した女性が、2人に殺してくれるようにネット、SNSと通じて、接触したようだ。だが、山本容疑者には女性から100万円を超す、金銭が提供されていた形跡がある。金銭目的で、嘱託殺人を請け負った可能性もある」(捜査関係者)

 大久保容疑者、山本容疑者のどちらも女性の主治医ではなく、初対面で、嘱託殺人に至ったようだ。

 大久保容疑者のブログには<「安楽死」なんて誰が好き好んでやるのか>と記されていた。

<一服盛るなり、注射一発してあげて、楽になってもらったらいいと思っています。ただまあ、わたしも家族がいる身なのでそう簡単にも行きません。バレると医師免許がなくなるばかりか、訴追されれば家族ともども路頭に迷いますからね>との思いも書いていた。

 なぜ「安楽死」を請け負って凶行に及んだのか、動機の解明が待たれる。(本誌取材班)

※週刊朝日オンライン限定記事