米国でも人気のコンブチャ。酢酸菌が重要な役割を果たしている (大泉工場提供)
米国でも人気のコンブチャ。酢酸菌が重要な役割を果たしている (大泉工場提供)

 酒好きには朗報だ。お酢や「コンブチャ」の製造に欠かせない酢酸菌。そのアルコール分解作用は、二日酔い防止に役立つことがわかってきた。

 東京・西麻布にある「大泉工場 NISHIAZABU」。無農薬のオーガニック飲料などをそろえる店の看板は、コンブチャだ。フルーティーな酸味とさわやかな微炭酸を感じる発酵ドリンクは、ここではワイングラスで提供され、女性らに好まれている。

「米国では市場がどんどん広がり、いまはブームを過ぎて定着しています。種類も100以上あります。スパークリングワインのようにフルーティーで飲みやすいものです」と広報担当の林健志さん。あくまでノンアルコール飲料だが、いまや米国は800億円規模の市場になっている。

 そもそもコンブチャとは、1970年代に日本でブームとなった「紅茶キノコ」のこと。これが海外で知られるようになった。紅茶や緑茶をベースに糖を加え、酢酸菌とゲル状の菌類であるスコビーを入れて2週間ほど発酵させたものだ。

 紅茶キノコで重要な役割を担うのが酢酸菌だ。お酢(酢酸)の製造では、原料となるアルコールを分解する。ただ、市販の食酢は酢酸菌を濾過(ろか)するなど取り除いて出荷している。沈殿することがあり、消費者から「異物」だと誤解されやすいためだ。

 お酢では最終的に取り除かれてしまう酢酸菌だが、最近ではアルコールの分解作用が二日酔い対策になることがわかってきた。

 キユーピーは酢酸菌を独自の製法で粉にしたサプリメントを商品化した。酢酸菌を研究するキユーピーの研究開発本部の奥山洋平さんは「酢酸菌の働きで約3割をお酢に変える効果を確認した」と話している。

「酢酸菌が胃に滞在している時間が長いほど効果があります。酢酸菌をとるのはお酒を飲んでいる最中か前後の30分ぐらいだと効果が期待できます」

 酢酸菌をとることで、飲酒時の呼気と血中のアルコール濃度も低下し、飲酒時の肝機能悪化や脂肪肝が軽減されたという。

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